『レッド・デッド・リデンプション2』を遊びたい。そう願う余命いくばくもない青年のもとに、Rockstar Gamesが駆けつける


Rockstar Gamesが手がけ、大きな期待を集める『Red Dead Redemption 2(レッド・デッド・リデンプション2)』。10月26日の発売まで3週間を切り、西部開拓時代末期のオープンワールド世界を体験できるまでもう少しの辛抱というところである。ただ、期待して待つファンの中には、3週間という時間は絶望的なほど長く感じざるを得ない事情を抱えている人もいるようだ。オランダメディアのGamersnet.nlが報じている。

オランダに暮らすゲーマーのJurian氏も、『Red Dead Redemption 2』の発売を楽しみに待つファンのひとり。しかし、彼は神経線維腫症2型という脳神経と脊髄神経に腫瘍ができる遺伝性の難病を患っている。この病気の腫瘍は良性ではあるが、2004年から闘病を続けてきたJurian氏の体内では腫瘍が肥大化。回復の見込みがなくなり、すでに治療を打ち切っている。そして、余生を過ごす彼に残された時間は、あと数週間だという。

このままでは、もしかすると『Red Dead Redemption 2』をプレイすることは叶わないかもしれない。そこで、Jurian氏が本作の発売を心待ちにしていたことを知っていた彼の父親が、本作の販売元に連絡を取った。するとRockstar Gamesのオランダオフィスの担当者は、Jurian氏に本作を発売前に体験させてあげたいと申し出てくれ、すぐに本社と調整。さっそく先週末に2名の担当者がJurian氏の自宅を訪れ、本作のデモを特別に披露してくれたという。おそらく最近メディア向けに披露されたビルドと同じものだそうで、本作のすべてを体験するには当然至らなかったであろうが、彼にとって特別な1日となったに違いない。

今年9月、末期がんを患うスマブラファンのChris Taylor氏に、米国任天堂が『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』を発売前にプレイさせてあげたという話題をお伝えした(関連記事)。また、末期の小児がんを患うも治療を打ち切らざるを得なかった少年が、Bethesda Softworksから『Fallout 76』の限定版を発売前にプレゼントされ、スタッフと共にゲームを楽しんだという話題もあった(関連記事)。Jurian氏はその米国任天堂の一件を耳にしており、Rockstar Gamesもまた素晴らしい会社であることを皆に知ってもらいたいと思い、今回の体験をGamersnet.nlに伝えたのだという。Rockstar Gamesは同メディアに対して、宣伝行為のように受け止められるかもしれないからと自ら公表することはなかったが、事実であると認めている。

実は、上述のChris Taylor氏は『スマブラ SPECIAL』を体験した数日後に、残念ながら亡くなってしまったことが友人らから報告されている。余命幾許もない愛する子供や友人、あるいは他人だが同じゲームを愛する仲間の願いをなんとか叶えてあげたいという周囲の行動力と、それに躊躇なく応えるメーカー各社の姿勢には、あらためて心を打たれるものがある。