Blizzard Entertainment、投資家向け説明会で恒例の『World of Warcraft』購読者数の報告を終了へ。5年前の1200万人から現在は半数以下に


Blizzard Entertainmentは海外メディアGameSpotに対し、投資家向け説明会にて公表していたMMO『World of Warcraft』の購読者数(サブスクリプション数)を今後報告しないと明らかにした。四半期ごとに実施される投資家向け説明会では、『World of Warcraft』のサブスクリプション数が公表されるのが通例だったが、2015年7月1日から9月30日までの第2四半期のデータを最後に今後伝えられないこととなる。今後は別の“尺度”にて『World of Warcraft』の状態を伝えてゆく予定だという。

『World of Warcraft』は、2004年からBlizzard Entertainmentが開発・運営している『Warcraft』シリーズの世界観を舞台にしたMMO-RPGだ。2010年の秋には1200万人のサブスクリプションに到達したことが発表され、ギネス世界記録にて「もっとも購読者数の多いMMO-RPG」と認定されている。一方で2012年以降は購読者数が1000万人を割り込むようになり、昨年11月には拡張パック「Warlords of Draenor」の配信とともに一時的に1000万人に返り咲いたものの、その後は短期間で560万人へと減少していた。

2015年7月1日から9月30日のデータによれば、サブスクリプション数は微減の550万人となっている。2016年夏にはシリーズ初となる『Warcraft』の映画が公開されるほか、同年の後半には第6弾の拡張パック「Legion」がリリースされる予定となっており、ここで巻き返しを図れるかが今後の『World of Warcraft』を運命を握ることとなりそうだ。

続々とビジネスモデルを変更する他MMO

『World of Warcraft』はレベル20まで無料でプレイできる「Starter Edition」のほかに、ゲーム内通貨を使ってオークションハウスから購入できる1か月間のプレイ権「WoW Token」を提供してる。しかし他のMMO作品は、続々と完全基本無料のFree-to-Playスタイルのビジネスモデルへと移行している状況だ。2012年には『The Secret World』や『Star Wars: The Old Republic』、2013年には『Rift』や『TERA』。今年3月には、『The Elder Scrolls Online』がパッケージ販売は継続したものの月額サブスクリプションを廃止していた。また『World of Warcraft』に次ぐMMO『Guild Wars 2』も、今年8月にF2P化を発表している。

いまだ550万人というサブスクリプション数は驚異的で、現在も『World of Warcraft』は間違いなくMMO-RPGの王者だろう。一方で最盛期からユーザー数は確実に減少しており、Blizzard自身がF2Pオンラインカードゲーム『Hearthstone』で成功している状況で、投資家たちからもF2P化の要望は寄せられることとなりそうだ。ただし2013年のBlizzConにて、BlizzardのプロダクションディレクターJ Allen Back氏は、海外メディアEurogamerに対し「我々は『World of Warcraft』をF2P化しない」と明言している。