E3会場周辺にフェミニスト活動家批判のポスターが多数出現、GamerGateのタグ付く

 

マルチジェネレーションではない完全なる次世代機向けタイトルが多数発表され、またVRやARの可能性を感じさせる技術も披露されたE3 2015は、時代の節目を感じさせる歴史の一幕となった。一方で負の部分、昨年から続く女権論者とゲームコミュニティの対立を思わせる一件も、現地にて発生しているようだ。現地メディアユーザーらの報告により、E3会場周辺にフェミニストのAnita Sarkeesian氏を批判するポスターが多数出現していることが明らかとなっている。

“フェミニストの奇人”

Anita Sarkeesian氏は、「Tropes vs. Women in Video Games」や「Positive Female Characters in Video Games」などのYouTubeシリーズにて、ビデオゲーム内におけるポジティブな女性表現を求めている女権論者だ。まるで下着のような装備品や、過度に強調した豊満なボディライン、ダメージを受けた際の艶やかな声など、ビデオゲーム業界が常に女性キャラクターを性的かつヒロイン的に表現していると主張し、それが現実における女性の性差別に繋がると訴えている。

彼女の主張は決して万人に受け入れられているわけではなく、特に彼女の意見に反対する過激派や、「GamerGate」を名乗る一部コミュニティからは、犯罪行為ともなる激しい嫌がらせを受けている。昨年夏ごろから、殺害予告を出されて自宅から退避したり、テロ攻撃の偽予告により公演が中止になるなどの事件が発生している。

今回貼られたポスターは「Fem Freak(フェミニストの奇人)」と題されており、中央にSarkeesian氏の顔イメージが描かれている。左部のメッセージ「All your tropes are belong to us honey」は、ゲーム『ゼロウィング』における有名な和英誤訳「All your base are belong to us」と、彼女のYouTubeシリーズである「Trope vs. ~」を掛けあわせたものだ。「Honey」と最後に呼びかけることで、どこか人を小馬鹿にしたような印象も与えている。背景には「GamerGate」のタグが無数に並べられているという。

当初「GamerGate」はゲームジャーナリズムの見直しのためにハッシュタグとして誕生したが、その発足からしばらくしてわけのわからないものになったと言える。たったひとつのハッシュタグとメッセージ性だけで多くのゲーマーを縛ることはできず、正しくゲームジャーナリズムを糾弾する人々もいれば、今回のようなアンチフェミニスト活動を続ける人々もいる状況だ。今回のポスターは、ゲームコミュニティの暗い影を象徴する一件として、悪い意味で見た者の記憶に残ることとなりそうだ。


初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。