『Game of War』元開発者が企業機密の不正流用でFBIに拘束される、ライバル会社との法廷戦争に始まる巨星の騒乱

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大々的なコマーシャルでアプリゲーム業界を席巻したMMOストラテジーゲーム『Game of War: Fire Age』。開発・販売を手がけるモバイルゲーム会社Machine Zoneの元開発者が、盗んだ顧客情報を使って解雇手当の改善を要求したとして、連邦捜査局に拘束されていたことが明らかになった。サンフランシスコ地元メディア、Bay City News Serviceが伝えている。先日から始まったライバル会社Kabamとの情報漏洩をめぐる法廷争いに加えて、破竹の快進撃をみせる巨星に渦巻く騒乱はしばらくおさまりそうにない。

 

退職後に思いもよらない重課金

Machine Zoneの元技術者Jing Zeng被告は、今年はじめに同社から解雇通告を受けており、その際に部外秘のデータベースから機密情報を持ちだしていたという。社内のパソコンを使って100以上の機密ファイルをダウンロードし、自分のストレージデバイスへ移動。その後、使用した端末のハードディスクを初期化して返却したとのこと。

CMに起用されたモデルKate Upton
CMに起用されたモデルKate Upton

海外メデイアVentureBeatによると、Zeng被告はMachine Zoneから提示された退職手当を不服として、盗んだ顧客情報を交渉材料に手当の改善を要求。Machine Zoneは企業秘密の漏洩容疑で同氏を連邦捜査局へ提訴していた。そして今週はじめ、サンフランシスコ国際空港から中国へ飛び立とうとしていたところをFBIが拘束した。

現地時間8月26日、被告は10万ドルの保釈金を払い監視つきで釈放されたが、公判が始まるまではサンフランシスコでの滞在が強制される。法定代理事務所の関係者によると、有罪判決が出れば10年以下の懲役と25万ドル以下の罰金が課せられるとのこと。さらに、裁判所から賠償金の支払いを命じられる可能性もあるとしている。解雇手当の改善どころか、思いもよらない重課金になりそうだ。

 

まさにリアル『Game of War』

獅子奮迅の勢いでアプリ業界を牽引するMachine Zoneは、本件以外にも同業界の覇権を争うライバル会社Kabamとの訴訟問題を抱えており、昨今話題が尽きることはない。事の発端は8月12日の夜、両社間の会合後に開催されたカクテルパーティーでのこと。Machine Zoneパロアルト支社の最高責任者Gabe Leydon氏と、Kabamで経営企画主任を務めるDaniel Wiggins氏の何気ない会話からはじまった。Wiggins氏がMachine Zoneの資本増強に関する社外秘の情報について言及したことから、機密情報の不正流用があったのではないかとの疑惑が浮上し、Leydon氏は翌日告訴に踏み切った。

CMに起用されたモデルKate Upton
CMに起用されたモデルKate Upton

VentureBeatによると、Machine Zoneは、「Kabamがどのように機密書類を手にしたのかは分かりませんが、直ちに情報の利用を中止してもらうことが極めて重要だと判断し訴訟に踏み切りました。Machine Zoneは非上場企業であり、競合ひしめく流動的な業界で操業しています。情報の漏洩はすでに実害を伴っており、Kabamが件の情報を保有し続ければ取り返しの付かないさらなる被害は免れないでしょう」と説明。Wiggins氏が内部機密の書類を見たものでなければ知り得ない情報を知っていたと、後にLeydon氏は法廷で証言している。

対するKabam側の主張は不正流用を真っ向から否定するもので、同社の企業広報を担当するシニアバイスプレジデントSteve Swasey氏は、VentureBeatのインタビューに次のように答えている。「まるでHBOの茶番劇『Silicon Valley』(2014年4月から放送されているアメリカのコメディーTVドラマ)の脚本みたいな話ですよ。シーズン3のネタになりそうですね。今回の件は、カクテルパーティーでワイングラス片手に繰り広げられた、Kabam中堅社員とライバル会社CEOのちょっぴりトゲのあるジョーク合戦に過ぎません。(中略)弊社の従業員が不適切な発言をしたことは恥ずべきことです。しかし、書類などないというのが真実です。何の根拠もありません。ここまで大事にするなんて馬鹿げてますよ。理にかなっていません。HBOが制作している傑作コメディーの元ネタと同じくらいひどいと思います」

数日前には、KabamのWiggins氏が上司であるシニアバイスプレジデントのChris Petrovic氏宛に送った過去のメールが法廷に提出された。Machine Zoneの金策に関する両氏の会話が記されていると伝えられているが、原告が主張するほどの決め手にはなっていないようだ。メールは原告の陳述を裏付けるに値しないとするKabam陣営と、新たに浮き彫りになった敵の行動を動かぬ証拠と捉えるMachine Zone陣営。パーティーでの何気ない煽り合いから発展した2大巨星の大激突はしばらく決着しそうにない。Machine Zoneを取り巻く一連の騒乱は、まさにリアル『Game of War』に突入している。

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