「The Game Awards 2015」の“Game of the Year”は『The Witcher 3』が獲得。各部門の受賞作品を振り返る


今年話題となった作品に、さまざまなアワードを送る年末最大のゲームイベント「The Game Awards 2015」が12月4日に開催された。開催前は女性の審査員が少ないのではないかと指摘され、一部メディアが審査枠から離脱するなど騒動もあったが、そんな懸念もよそに様々なアーティストや有名人が登場し盛り上がりを見せ、華やかなステージとなった。

本記事では「The Game Awards 2015」の各アワード受賞作とノミネート作品を見て、あらためて2015年にリリースされてきたゲームを振り返ってみよう。

 

Most Anticipated Game(もっとも期待されているゲーム)

この賞は、タイトルどおり2016年にリリースが期待されているゲームに贈られる。いよいよ発売に向けて本格始動しはじめた『人喰いの大鷲トリコ』、『ALAN WAKE』のRemedy Entertainmentがおくる時空操作がテーマの3人称視点アクションアドベンチャー『Quantum Break』などがノミネートされたが、受賞したのは『No Man’s Sky』だ。少人数の開発スタジオHello Gamesがおくる『No Man’s Sky』は、舞台となる宇宙やそれぞれの惑星の環境、さらには生態系すらも自動生成されていく、特大スケールの冒険アクションアドベンチャーゲームだ。無限の可能性を感じさせる『No Man’s Sky』に、ユーザーのみならず業界人も大きな期待を寄せているのだろう。

  • Horizon Zero Dawn
  • ・No Man’s Sky
  • Quantum Break
  • The Last Guardian
  • Uncharted 4: A Thief’s End

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Best Multiplayer(ベストマルチプレーヤーゲーム)

この賞は、2015年発売されたなかでもっとも熱かったマルチプレイヤーゲームに贈られる。ノミネートには、毎年ブラックフライデー前のリリースが恒例となった説明不要の大作『Call of Duty: Black Ops 3』や、ローンチ時は無名だったものの今やsteamプレイヤー人口上位にまで上り詰めたハチャメチャの“車サッカー”ゲーム『Rocket League』などが候補にあがった。だが海外のビッグネームや人気作を倒し、最終的に賞を得たのは任天堂の『スプラトゥーン』だ。エリアを塗るという独自のメカニックにフォーカスしたこのゲームは、新規タイトルとしては異例のロングヒットを飛ばしている。5月の発売から半年以上が過ぎているものの、現在も日本の週販ゲーム売上にて上位を維持し続けており、それだけに今回の受賞も納得がいくものと言えそうだ。ステージや武器の無料追加などまだまだアップデートは続いており、まだまだ人気は続くことだろう。魅力をさらに知りたい人は、弊誌『スプラトゥーン』のレビューを読んでみてほしい。

  • Call of Duty: Black Ops 3
  • Destiny: The Taken King
  • Halo 5: Guardians
  • Rocket League
  • スプラトゥーン

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Best Sports/Racing Game(ベストスポーツ/レースゲーム)

今年もっとも出来のよかったレース/スポーツゲームに贈られるのがこの賞だ。世界最大級の人気をほこるサッカーゲーム『FIFA16』や、450台を越えるマシンが登場するリアルレースゲームの定番シリーズ『Forza Motorsport 6』がノミネートされたが、受賞したのはすでににベストマルチプレーヤーゲームで紹介した『Rocket League』だった。車(レース)とサッカー(スポーツ)を融合させたユニークな作品内容で、見事受賞に至ったようだ。「The Game Awards 2015」ではXbox One向けに発売することも発表されており、『Rocket League』旋風は2016年以降も吹き続けることになりそうだ。

  • FIFA 16
  • Forza Motorsport 6
  • NBA 2K16
  • Pro Evolution Soccer 2016
  • Rocket League

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Best Family Game(ベストファミリーゲーム)

名前のとおり、この賞は家族で遊べるような優れたファミリーゲームへと贈られる。レゴフィギュアとゲームが連動しゲーム内で自分の持つレゴが“生きている”かのように動く『Lego Dimensions』、ディズニーだけでなく「DCコミック」や「スターウォーズ」作品のキャラクターも登場するビッグなスケールのフィギュア連動ゲーム『Disney INFINITY 3.0』、さらにフィギュア連動ゲームの元相とも言える「Skylanders」の新作『Skylanders: SuperChargers』などがノミネート。近年のフィギュア連動型ゲームのトレンドを示すラインナップとなった。しかし受賞したのは、純粋なフィギュア連動ゲームではなく『スーパーマリオメーカー』である。『スーパーマリオブラザーズ』のコースを作る、遊ぶというサイクルはどちら側に回っても楽しく、フィギュア連動ゲームよりもより家族で楽しむのに適したデザインだと言えるだろう。

  • Disney Infinity 3.0
  • Lego Dimensions
  • Skylanders: SuperChargers
  • スプラトゥーン
  • スーパーマリオメーカー

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Games for Change Award(もっともインパクトのあったゲーム)

この賞は、社会を揺るがし変化させるようなインパクトのあるゲームに贈られる。戦争によって主人のいない家を掃除し続けるというユニークな設定のアドベンチャー『Sunset』は、商業的な失敗により開発スタジオがゲーム業界からの撤退を表明した作品だ。そしてSteamオータムセール中も定価でありながら売上ランキング上位を維持し続けた『MOTHER』ライクRPG『Undertale』もノミネートされた。これらの作品を抑え受賞したのは『Life is Strange』である。時を巻き戻して運命を変える3Dアドベンチャーである本作は、アートスクールに通うMaxを中心としたリアルで生々しい学園人間ドラマが人気を呼んだ。すでに作品は完結しているが、Tumblrなどではいまも日夜二次創作やキャラ議論で盛り上がっており、現在も人気は衰えていないようだ。

  • Cibele
  • Her Story
  • Life Is Strange
  • Sunset
  • Undertale

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Best Action/Adventure Game(ベストアクションアドベンチャーゲーム)

この賞は、2015年優れていたアクションアドベンチャーゲームに贈られる。今年年末にリリースされ良好な評価を獲得した『Assassin’s Creed Syndicate』や『Rise of the Tomb Raider』など、有名シリーズの最新作などがノミネートしている。最終的に受賞したのは『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』である。オープンワールドのステルスアクションとしてリリースされた本作は「PlayStation Awards」でも多数の賞を獲得しており、2015年の日本を代表する作品になったと言えよう。を受け取る場に現れずただし開発の中心だった小島監督が登壇をコナミに許可されない内情が暴露されるなど、やや後味の悪い受賞となった。

  • Assassin’s Creed Syndicate
  • Batman: Arkham Knight
  • METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN
  • Ori and the Blind Forest
  • Rise of the Tomb Raider

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Best Narrative(ベストナラティブゲーム)

この賞は、もっとも素晴らしいナラティブ(物語の伝え方、表現方法を持つ)を有するゲームへと贈られる。ノミネートされたのは、B級ホラーとされながらも独特の緊張感と恐怖でファンの心を掴んだホラーアドベンチャーゲーム『Until Dawn』や、壮大なダークファンタジーの世界観を持ち細かな心理描写も見事に描ききったアクションRPG『The Witcher 3: Wild Hunt』など。しかし最終的に受賞したのはAUTOMATONでもレビューを掲載した『Her Story』だ。本作はデータベースから検索ワードに引っかかったビデオを調べなにが起きたのかを推理していくアドベンチャー作品。ほかのノミネートされた作品と比較するとかなり小規模な作品だが、驚きと衝撃に満ちたビデオで紡がれる物語が支持を集めたようだ。

 

  • Her Story
  • Life Is Strange
  • Tales From The Borderlands
  • The Witcher 3: Wild Hunt
  • Until Dawn

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Best Mobile/Handheld Game(ベストモバイルゲーム)

この賞は携帯ゲーム機やスマートフォン問わず、今年最高のモバイルゲームに贈られる。ノミネートされている1つめの作品は、カプコンの看板シリーズ『モンハン』の最新作『Monster Hunter 4 Ultimate(モンスターハンター4G)』。本作は欧米だけで100万本を販売するなど海外でも人気を見せつけている。また同様に日本からノミネートされた『Downwell』は、井戸を落下しながら敵を踏んだり撃ったりする爽快感抜群の”落ちアクション”だ。最終的に受賞したのは『Lara Croft Go』。『Hitman Go』のDNAを受け継いだスマートフォン向けの本作は、ララクロフトをマス目ごとに移動させていくターン制のシミュレーションゲーム。シンプルでありながらも奥深く、トイタッチで美しいグラフィックも魅力で、それらの洗練された各要素が票を集めたのかもしれない。

  • Downwell
  • Fallout Shelter
  • Lara Croft Go
  • Monster Hunter 4 Ultimate
  • Pac-Man 256

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Best Independent Game(ベストインディーゲーム)

この賞は今年もっとも輝いていたインディーゲームに贈られる。美しいグラフィックと音楽だけでなく絶妙なゲームプレイも魅力の2Dアクション『Ori and the Blind Forest』や、機械と未知の生命が混在するダンジョンを探索する『メトロイド』的アクション『Axiom Verge』などがノミネートされていた。最終的に受賞したのは、『Rocket League』。すでに何度も紹介しているが、インディー規模でありながらPS4とPCの両方でブームを引き起こすほど人気となった“車サッカーゲーム”のインパクトは相当強かったようだ。

  • Axiom Verge
  • Her Story
  • Ori and the Blind Forest
  • Rocket League
  • Undertale

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Developer of the Year(ベスト開発ゲーム会社)

この賞は2015年もっとも活躍した開発会社へと贈られる。『Bloodborne』でさらに評価を高めたフロム・ソフトウェアや、『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』を開発した小島プロダクション、『スプラトゥーン』『スーパーマリオメーカー』などヒット作を次々世に送り出した任天堂など、5社のノミネートのうち3社が日本の会社だった。しかし、受賞したのは『The Witcher 3: Wild Hunt』を開発したCD Projekt Redだ。ポーランドを拠点とするCD Projekt Redは、前作である『The Witcher 2』を開発してから約5年をかけて『The Witcher 3』を完成させた。

  • CD Projekt Red
  • From Software
  • Kojima Productions
  • Nintendo
  • Bethesda Game Studios

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Game of the Year(ゲーム・オブ・ザ・イヤー)

2015年もっとも素晴らしかったゲームを決める、それがゲーム・オブ・ザ・イヤーだ。11月に発売されまたたく間に大ヒット、アダルトサイトの話もふくめ社会現象を引き起こした『Fallout 4』や、小島秀夫監督の『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』がノミネートされていた。大賞に選ばれたのは『The Witcher 3: Wild Hunt』である。本作は既に”Golden Joysticks 2015″でも大賞に選ばれており、今回も最有力候補の1つと目されていた。次世代を感じさせる雄大で美麗なグラフィック、複雑に交錯した物語、充実のサイドクエスト、どの要素をとっても絶賛される新世代RPGが、2015年のショーアワードを席巻した結果となった。

  • The Witcher 3: Wild Hunt
  • Bloodborne
  • Fallout 4
  • METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN
  • Super Mario Maker

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ほかにも、Best Art Direction(ベストアートゲーム)では『Ori and the Blind Forest』、Best Score/Soundtrack(ベストサウンドゲーム)ではまたもや『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』が受賞している。

さまざまなタイトルが目白押しだった「The Game Awards 2015」。あなたはいくつのタイトルをプレイしただろうか。各コンソールのストアではまだセールが続けられており、Steamでは年末のホリデーセールを控えている。年末までどのゲームをプレイするのか決めあぐねているのなら、今回の受賞結果を参考にするのもいいかもしれない。