昨年ゲーム業界を騒がせた「Lizard Squad」の17歳青年が裁きを受ける、執行猶予付きの有罪判決


Kaleva紙などフィンランドの地元メディアや米国メディアDaily Dotは、「Lizard Squad」のキーメンバーJulius Kivimakiが有罪判決を受けたとのニュースを報じた。失効猶予2年付きの有罪判決を言い渡されており、今後“サイバー犯罪と戦う”ことを裁判所から命じられているという。幾多ものコンピューター犯罪を起こし、昨年ゲーム業界を大きく騒がせた「Lizard Squad」だが、彼らは徐々にその代償を払わされつつある。

昨年末にテレビ出演、後に取り調べへ

Lizard Squadは昨年8月頃から登場したハッカーグループだ。PlayStation NetworkやXbox LIVE、さらには『Diablo 3』や『League of Legends』といった有名オンラインタイトルをターゲットにDDoS攻撃を仕掛け、多数のサーバーをダウンさせたと見られている。またSony Online Entertainment(現Daybreak Game)のスタジオトップJohn Smedley氏の搭乗している飛行機に対して、爆破物が取り付けられていると脅迫したことでも知られる。GamerGateを中心とした騒動と並び、Lizard Squadが関与した一連の事件は、2014年のゲーム業界の負を象徴していたと言えるだろう。

Lizard Squadは昨年夏から秋にかけて事件を起こして以降、年末になるとおおやけでの露出が増えていった。クリスマスの12月25日にふたたび大規模なハッキングを仕掛けたあと、12月26日には英国のBBC Radioにメンバー2人が出演、さらには報道番組Sky Newsのインタビューに“Vinnie Omari”および“Ryan”を名乗る人物らが顔出しで登場している。さまざまな筋より、このRyanが今回のフィンランド在住の10代青年Julius Kivimakiではないかと目されていた。この取材の直後、12月29日にはVinnieことVincent Omariが逮捕され、そして12月31日にはRyanことJulius Kivimakiが取り調べを受けていると報じられている。

昨年Sky Newsに出演したRyanは、「ほとんどは(企業のセキュリティが傍若であるという)認識を高めるためにやった、あとは自分たち自身が楽しむためだね」と、DDoS攻撃を仕掛けた理由を説明していた。消費者たちから数千万ドルもの資金を得ているにも関わらず、大手企業はサイバー攻撃に対するセキュリティにまったく費用を投じていないというのが彼らの主張であり、昨年の一連の攻撃の動機だ。

DDoS攻撃では企業だけでなくプレイヤーも被害を被るのだが、クリスマスにDDoS攻撃を再び仕掛けた件に関してRyanは「むしろ、みんなクリスマスイブやクリスマスにゲームをプレイする以外のことをしないのかと心配したよ。ゲームをプレイする代わりに子どもたちが家族と過ごせるようにしたんだから、なんら悪くは思わないね」と答えており、悪びれる様子を見せなかった。

徐々に捕まりつつあるトカゲ

地元メディアによれば、今回の判決でJulius Kivimakiは、データベースへの侵入、重大な支払詐欺、電気通信によるハラスメントなど、50700件のコンピューター犯罪に関して有罪判決を受けている。昨年のクリスマスでの攻撃において、Lizard Squadは別のハッカー集団Anonymousにより個人情報をさられており、逮捕者が続々と出ている状況だ。今年1月にはJordieことJordan Lee-Bevanが逮捕されたと報じられており、法による断罪はしっぽだけでなく本体へと振り下ろされつつある。

Lizard Squadは今回の有罪判決の報道に対し、「報道記事へのコメントはどれも感傷的だ。トカゲを捕まえることはできない、彼らは知ってるのか?」とコメントしている。また「なぜ刑務所に入らなかったのかと怒る人たちがいるが、フィンランドは世界でも快適な刑務所があるということを知らないのか?」と、相変わらずの様子を見せている。