「METAL GEAR ONLINE」PC向けベータ版が開始早々サービス停止、MBコインの不正取得が発覚か

 

コナミデジタルエンタテインメント(以下、コナミ)が『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』と平行して、昨年10月にサービスを開始したマルチプレイヤー対戦モード「METAL GEAR ONLINE」。昨日からいよいよPC向けにもベータ版がリリースされたばかりだが、開始早々にしてサービスの一時停止が発表された。課金要素であるゲーム内通貨「Mother Base Coin」(以下、MBコイン)の不正取得が発覚したためと報告されており、修正パッチを適応次第サービスを再開するとしている。

 

渦中の課金システムに侵入者発見

「METAL GEAR ONLINE」は、コンソール向けに昨年10月6日、PC向けに今年1月13日から、『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』に実装されたオンライン対戦ゲーム。最大16人での対戦が可能で、「バディシステム」「フルトン回収システム」「マーキングシステム」といった本編のメカニックが搭載されていることが特徴だ。プレイヤーキャラクターは、それぞれ基礎能力や装備品が異なる「偵察クラス」「重装クラス」「潜入クラス」から好みの特性を選べるほか、外観のみに影響するアバターや装身具も自由にカスタマイズできる。また、カスタマイズ用の装身具やカラーは、ゲームプレイによって得られるギアポイント(通称、GP)という通貨や、本編でも用いられた課金ゲーム内通貨MBコインを使って購入できる。

コンソール版から約3か月遅れでいよいよスタートしたPC版「METAL GEAR ONLINE」だったが、24時間経たずしてサービスの一時中止がSteamページ内の公式フォーラムにて発表された。開発者はスレッドの中で、不正行為の可能性が見つかったため、修正パッチの準備ができるまで一時的にアクセスを不能にしたと報告。問題が解決次第、ベータ版のサービスを再開すると説明している。また、発覚した不具合の詳細についてはフォーラムで触れられていないが、課金システムをバイパスしてMBコインを不正に取得するプレイヤーが現れたためであると、業界メディアKotakuは報じている。

「METAL GEAR ONLINE」のサービス開始以降、ファンからの反応はゲームバランス等を理由に必ずしも好評という状況ではない。PC版に関しても、ゲームが起動しない不具合の報告や、ボイスチャットが常時オンになっておりプッシュトークへの切り替えができない仕様への不満が、ローンチ後まもなくして公式フォーラムへ相次いで寄せられていた。挙句、今回のサービス停止が発表された際には、本編のオンラインモード「Forward-Operating-Base」(以下、FOB)の運営状況に触れ、蔓延するチーターには指一本触れないにもかかわらず課金システムが脅かされるや否や過敏に反応しているとして、コナミへの痛烈な皮肉が囁かれる始末。シリーズ初となるマイクロトランザクション導入への非難にはじまり、昨年FOBに実装された課金による「損害補償」サービスで再燃したファンの怒りは、事業改変に伴う小島プロダクションの解体や方針転換したコナミのビジネスモデルへの批判を大義名分に、しばらく収まる気配はなさそうだ。

なお、「METAL GEAR ONLINE」の開発を担当していたゲームスタジオ「Konami Los Angeles Studio」(旧名、Kojima Productions Los Angeles)は、製品開発リソースの再編を理由に、昨年11月に閉鎖されている。また、昨年12月には、28年にわたりメタルギアシリーズを開発し続けてきた生みの親、小島秀夫監督がコナミを退社し、自らのスタジオ「コジマプロダクション」を設立したことも報じられた。コナミは今後もメタルギアシリーズの開発を続けていくとしているが、果たして小島監督なき後、どれだけの歴代ファンが支持を続けるのだろうか。“A Hideo Kojima Game”印がなくなったシリーズの動向を引き続き追いかけていきたい。