『MGS V: TPP』の全世界累計出荷本数が300万本を突破、小島プロダクションが残した賢者の遺産

メタルギアサーガ空白の1ページを補完する最新章『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』の発売から1週間足らず。全世界における累計出荷本数が早くも300万本を突破した。累計で600万本以上を売り上げた『METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS』を超える、シリーズ最多の売上が期待されている。また、発売と時を同じくして公開された完成報告映像「Debriefing」では、世界のエンターテインメント業界で活躍するアーティストや著名人が小島監督の功績を称えている。小島プロダクションがゲーム業界に残した“賢者の遺産”に迫る。

 

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コナミデジタルエンタテインメント(以下、コナミ)がGoogle AdSenseに出稿している『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』の広告から、同作の全世界累計出荷本数が300万本を突破したことが明らかになった。メタルギアサーガは、700万本の売上を記録した『METAL GEAR SOLID』とその続編『METAL GEAR SOLID 2: SONS OF LIBERTY』、400万本のビッグボス誕生秘話『METAL GEAR SOLID 3: SNAKE EATER』、そして600万本以上を売り上げた最終章『METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS』と、これまで軒並みミリオンヒットを達成している。前作『METAL GEAR SOLID PEACE WALKER』から5年。満を持して発売した最新作には、シリーズ史を塗り替える記録が期待されている。

一方で、近年ゲーム業界で広く普及しているマイクロトランザクションというビジネスモデルを、シリーズを通して初めて導入したことが物議をかもしている。ゲーム内通貨の一つ「MBコイン」を課金購入することで、オンライン対戦モード「Forward-Operating-Base」で使用する基地を手っ取り早く追加購入できるという仕組みだ。同モードは課金せずとも誰もがプレイできるほか、「MBコイン」はデイリーログインボーナスでも入手可能なため、課金要素はあくまでもゲーム進行を手助けするブースターオプションとして用意されたものだが、高い価格設定にはフルプライス作品らしからぬと不評が集まった。

コナミが基本無料ゲームに主流の課金モデルを採用した背景には、『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』の制作にかけられた莫大な開発費の回収という目的があるのは確かだろう。しかし、ナンバリングタイトル5作目を『METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES』と2回に分けて別々に発売するというイレギュラーな試みもあり、一部のシリーズファンからやり玉にあげられる結果となったことは否めない。国内ゲーム市場を取り巻く環境はスマホゲームの到来とともに大きく変化しており、今年3月に発表されたコナミの事業改変による方針転換も十分に考えられる。海外メディアで取り沙汰されているような小島秀夫氏とコナミの確執に関しては定かではないが、もしかしたら新たな販売形態の試みが小島氏の執行役員解任や小島プロダクション解体の引き金になったのかもしれない。

 

賢者の遺産

9月1日、『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』の発売と時を同じくして、完成報告映像「Debriefing」が、YouTubeのコナミ公式チャンネルにて公開された。本作のタイトルコンセプトとデザインを担当したKyle Cooper氏をはじめ、楽曲を提供した作曲家Justin Burnett氏、カズヒラ・ミラーの声を演じた俳優Robin Atkin Downes氏やオセロット役のTroy Baker氏が、小島監督の28年にわたる開発人生における功績や本作がもたらした影響を称えている。また、IGNの元編集者でゲームチャンネルKinda Funny Gamesのホストを務めるGreg Miller氏や、2014年の「The Game Awards」でエグゼクティブプロデューサーを担当したカナダ人ジャーナリストGeoff Keighley氏は、メディアの観点から本作を振り返っている。

さらに、一連の対談の後に小島監督が完成報告に向かったのは、今年2月にガンとの闘病生活の末、21歳(享年22歳)の若さでこの世を去ったメタルギアファンSean Paul Gillespie氏の実家。Seanさんは、『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』の開発にあたり小島監督宛に一通の応援メールを送っており、終盤苦境に立たされた制作チームの心に大きな勇気を与えてくれたという。化学療法によるガンの治療が進展しない中、ゲームをプレイすることが彼の救いだったとのことで、メタルギアシリーズのグッズに飾られた彼の部屋からは作品にかける想いが伝わってくる。コナミおよびメタルギア制作チームは、闘病を続けながらも力強いメッセージを届けたSeanさんに敬意を表し、チームの一員として迎えるとともに謝辞を述べている。

「28年間、シリーズを紡ごうと思って、そんなことを計画できる人はいないと思うんですよね。毎回毎回、これで最後で、これ以上のものは作れないという想いでやってきたんですけども、ふと振り返ってみると28年間やってた」。小島監督がそう振り返るメタルギアシリーズは、共に制作に携わってきたクリエイターにも常に革命的であったと言わしめている。8ビットの2Dゲームにはじまったシリーズが、3Dグラフィックへの進化やムービーの導入、フルボイスによる音声演出を経て、今や映画に近い存在となった。

テクノロジーの進化により常に新たな可能性を秘めてきた開発の歴史を、小島監督は階段を上ることに例えている。同じコンテンツではあるが、同じステップは一つとしてないのだという。オセロットの声を担当したTroy Baker氏は、小島氏との対談の中で「監督自身の想像を超えた、とてつもなく大きいものを生み出したと思う。今ある多くの名作や制作中のゲームに対し、あなたのゲームが刺激を与えよりよい作品を作らせている」と語っている。小島監督が述べる革新の階段こそが、まさに彼がゲーム業界に残した“賢者の遺産”なのだろう。

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