『MGS V: TPP』のオンラインFOBモードで損害補償サービス開始、スマホゲーム彷彿させる課金モデルに前線基地再燃

 

コナミデジタルエンタテインメント(以下、コナミ)は、『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』の最新アップデートを配信した。オンラインモード「Forward-Operating-Base」(以下、FOB)に、運営側が用意した基地に潜入できる「イベントFOB」が登場したほか、他プレイヤーから奪取された資源やスタッフを有料で補償する「損害補償」サービスが開始された。スマホゲームを彷彿させる課金モデルに、海外フォーラムでは以前から不評が集まっていたゲーム内通貨「Mother Base Coin」(以下、MBコイン)をめぐる批判が再燃。新仕様とともに燃料が追加された前線基地は、瞬く間に再び火の海と化している。

 

MSF海上による損害保険最高水準の事故対応

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最新アップデートの内容は、オンライン「FOB」モードにおいて報復されるリスクがない「イベントFOB」や、他プレイヤーに奪われたリソースを有料で保護する「損害補償」サービスの追加にくわえて、オンライン専用派遣ミッション(Combat Deployment)の大幅拡充、新アイテムの追加、武器グレードの上限引き上げ(7まで開発可能)など、そのほか多岐にわたる。ゲーム体験の改善とプレイスタイルの選択肢を増やすために追加された新仕様だが、発売直後から批判の的になった「MBコイン」の新たな使いみちとして導入された保険販売がさらなる火種となったようだ。

海外フォーラムNeoGAFに寄せられた情報によると、「損害補償」サービスの価格(MBコイン)は1日で50枚、3日で100枚、7日で200枚、14日で300枚とのこと。「MBコイン」は100枚1.65ドルの相場で販売されているため、前線基地の損害保険にかかる費用は1日あたりおよそ83セント。年間の安心サポートを受けるとしたら、14日間のお買い得パッケージを26口、「MBコイン」に換算して7822枚が必要になる。「MBコイン」は6000枚で79.95ドル、3500枚で48.95ドル、1150枚で15.95ドル、550枚で7.95ドルでお得に購入できるので、現実世界でのコストは最安値で(6000+1150+550+100*2=7900 ⇒ 79.95+15.95+7.95+1.65*2=)107.15ドルかかり、少しおつりがくる計算だ。

仮想の財産を現実の通貨で保護する事故対応サービスに、以前からマイクロトランザクションに否定的だったファンからは非難の嵐が巻き起こっている。中には、「来るコナミのパチンコ(先日、コナミグループのパチスロメーカーKPEが“BIGBOSS ビッグボス”という商標を出願したことが囁かれた)では日本円の代わりにMBコインで換金されるんだろう」「もう4月1日(エイプリルフール)だったかな」「Guest Starring The “Konami” Parasite Unit」といった皮肉まで飛び交う始末。シリーズ史上類を見ない課金システムに累積したファンの不満は頂点に達しているようだ。

Clash of Clans
Clash of Clans

ゲーム内通貨を用いた「損害補償」サービスのようなビジネスモデルは業界初ではない。フィンランドのモバイルゲーム開発会社Supercellが運営するスマートフォン・タブレット向けオンラインストラテジーゲーム『Clash of Clans』では、ゲーム内通貨「エメラルド」で購入可能な「シールド」という仕組みが以前から存在する。有効期間中は自分の村が他プレイヤーからの攻撃対象にならないというものだ。自分から攻撃をしかけると無効になるが、ゲームをプレイしていないオフラインの状態で攻撃にさらされる心配がなくなるため、留守中も財産を安全に保管できる。サービスパッケージは1日や2日、1週間といった複数の単位で販売されている。

しかし、『Clash of Clans』が誰でも気軽に始められる基本無料ゲームであるのに対して、『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』はフルプライスのAAAタイトルであることから、一部のシリーズファンからは方針転換したビジネスモデルのあり方が問題視されている。コナミが基本無料ゲームに主流の課金モデルに注力する背景には、本作の莫大なコストを回収する目的もあるのだろうが、事業改変に伴う小島プロダクションの解体で勃発したファンの嫌悪感を増長させる結果となったことは否めない。アウターヘイブン最高水準の事故対応が、奇しくも一度火災が起きた前線基地に再び油を注いでしまったようだ。