『ウイニングイレブン2016』、EURO2016は24か国中15国のみユニフォーム収録。国内外で『FIFA』に飲み込まれつつある『ウイイレ』のライセンス

コナミは3月24日、『ウイニングイレブン2016』(以下、ウイイレ2016)においてUEFA EURO 2016を新たに収録した大型アップデートを配信した。UEFA EURO 2016(以下、EURO2016)とは、今年6月から開催されるヨーロッパ各国代表チームによって争われるサッカーの大会だ。スペイン、ドイツ、フランスなど予選を勝ち抜いたヨーロッパの強豪国が競うとあって、ワールドカップに勝るとも劣らない人気を誇る大会になっている。

今回のアップデートによって「UEFA EURO 2016カップ」モードや、大会で使用されるスタジアムなど多岐に渡った新要素が無料で追加される。この点では『ウイイレ2016』にEURO16にまつわるコンテンツを無料で導入されるありがたいアップデートと言えるだろう。問題なのは、肝心のEURO2016に出場する24か国のうち、15か国しかオフィシャルに収録されていないということだ。

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非公認の9か国

今回のアップデートで収録されているEURO2016の出場国はイングランド、ウェールズ、ドイツ、スペイン、ポルトガル、イタリア、ウクライナ、チェコ、クロアチア、スロバキア、アイスランド、トルコ、アルバニア、北アイルドランドとフランス。つまり、ルーマニア、 スイス、ロシア、ポーランド、ベルギー、アイルランド、スウェーデン、オーストリアとハンガリーはライセンスが収録されないことになる。すなわち、選手やチームは使用できるが、ユニフォームなどはダミーのものとなる。

特に注目すべきなのは、3月24日現在FIFAランキングのトップに君臨するベルギーのライセンスが収録されていないという点だ。ベルギーはエデン・アザールやロメロ・ルカクといった若きタレントを生み出し近年躍進を続けてきた強豪国。そのほかにも派手さはないが力強いディフェンス陣で10位まで順位をあげたオーストリア、ズラタン・イブラヒモビッチ擁するスウェーデンなどもライセンス収録国には含まれていない。この収録国の発表を受け、Eurogamerは「今回DLCにはフランスのスタジアムが追加されるということ以外に価値はない」と厳しい評価をくだしている

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『ウイニングイレブン』シリーズは2000年代に一世を風靡したサッカーゲーム。サッカーゲームの代表的な立ち位置でサッカーファンにもゲーマーにも親しみ深い作品であったが、Electronic Artsが開発する『FIFA』シリーズの台頭により陰りが見えていた。しかし『ウイイレ2016』では『METAL GEAR SOLID V』でおなじみの「FOXエンジン」を採用し、課題であったグラフィックやモーションのぎこちなさを一気に克服。イングランドのサッカーメディアFourFourTwoも「PES2016(ウイニングイレブン2016の英語名)がFIFAに勝る8つの理由」というコラムを通じて、パスが決まりやすい、ゴールが決めやすいといたゲームとしての面白さとリアルなグラフィックの融合を果たした同作を高く評価している。しかし『ウイイレ』シリーズはEURO2016の件を代表に、チーム名、選手名といったライセンスの面で『FIFA』シリーズに後れを取っている。

 

マクレスター、テルフィー、アーセガム

『ウイイレ』シリーズがライセンス問題に苦しみ始めたのは何も今に始まったことではない。欧州クラブの実名収録にはシリーズ当初からどちらかというと消極的であり、特にイングランドのプレミアリーグの扱いは顕著で「マンチェスターユナイテッド」、「アーセナル」や「チェルシー」といったチームは「マクレスターU」「アーセガム」「テルフィー」といった名前で収録されていた。さらに2010年に『FIFA』シリーズがプレミアリーグと独占契約したことにより、この“架空チーム化現象”は加速した。『ウイイレ2016』ではマンチェスターユナイテッドのみが正式なチーム名として登場し、架空チームも“もじり”を重視した名前ではなく、「イーストロンドン」といったチームの本拠地の場所にちなんで名前で登場している。ただし、チーム内の選手は実名で、能力やグラフィックも本人をベースに作られているが、ユニフォームやスタジアムはもちろん架空のものとなっている。

また、日本人選手も多く属しているドイツの「ブンデスリーガ」も依然としてゲーム内に収録されていない。強豪チームとされる「バイエルン・ミュンヘン」や「ヴォルフスブルク」、「ボルシア・メンヘングラードバッハ」のみが”その他のリーグ”のチームとして登場する。香川真司選手が所属しており日本でも人気を誇る「ドルトムント」や、内田篤人選手が所属する「シャルケ」などは、そもそも偽名のチームすら存在しない。スペインの「リーガ BBVA」やイタリアの「セリエA」といったリーグはすべてのチームが実名で収録されているが、『FIFA 16』が主要リーグのほぼすべてのチームと選手を実名で収録していることを考えると、分が悪いと言わざるをえない。また『FIFA 16』からは女性サッカー選手も収録されるようになり、女子サッカーという部分でも『FIFA』はライセンスにおいて一歩先へ進んでいる。

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一方、『ウイイレ』シリーズはUEFA(欧州連盟サッカー)と独占ライセンスを結んでおり、この点において『FIFA』シリーズに対してリードをとっている。UEFAといえば欧州のサッカーリーグの強豪が争う「チャンピオンズリーグ」がある。『FIFA 16』ではこのチャンピオンズリーグは「チャンピオンカップ」という名前で登場するが、“本物”にこだわってきたElectronic Artsとしては後塵を拝することは望ましい展開ではないだろう。このUEFAと『ウイイレ』シリーズの契約は昨年新たに更新され、2018年まで続くようだ。また「コパ・リベルタドーレス」といった南米リーグとのライセンス契約は、『ウイイレ』シリーズに分があるように見える。

 

国内の牙城に陰りも

そして『ウイイレ』シリーズのライセンス問題は国内にまで及んでいる。日本のサッカーリーグ「Jリーグ」とサッカー日本代表のライセンス契約は、『ウイイレ』シリーズにおいての牙城とも言える部分だった。『FIFA』シリーズは同じアジアである韓国の「Kリーグ」ともライセンス契約を結んでいることから、FIFAにJリーグが登場しないのは『ウイイレ』との契約があるという噂が長い間流れ続けた。しかし今年2月18日にJリーグがElectronic Artsとパートナシー契約を締結したことを発表されており、『ウイイレ』シリーズの国内ライセンスが揺らぎ始めたのも事実だ。盛り返してきているゲーム内容とは裏腹に、国内外の両方でライセンスに苦しみ続けている。

結局のところ、『ウイイレ2016』のEURO 2016のチームのライセンスがすべて収録されなかったのは、FIFAによる独占契約が原因かコナミ側のマネタイズの問題であるかは定かではない。しかしこのライセンス問題が『ウイイレ』のブランドが復活するうえでの“大きな鍵”を握っているのは間違いない。

【UPDATE 2016/3/25 2:00】初版にて「9か国のライセンスが収録されておらず使用できない」と記載していましたが、正しくは「9か国のライセンスが収録されておらず、ユニフォームを使用することができない」でした。訂正しお詫び申し上げます。

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