『ストV』、「ユリアン」登場で発表されていた追加キャラクターはすべて実装。今までのタイトルアップデートと今後を考える

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株式会社カプコンは9月23日のサーバーメンテナンスにて、格闘ゲーム『ストリートファイターV』(以下、ストV)のタイトルアップデートを行い、現行バージョンを「1.09」とした。

ステージKO演出、CPU戦機能などいくつかの追加点はあるが、やはり注目は『ストリートファイターⅢ』以来のシリーズ参戦となる「ユリアン」の実装だろう。

権力闘争に敗れて秘密結社の副総統に甘んじている悪のエリート、『スト3』では基盤によってガード不能連携が使えてしまうなどの不具合も含めて人気のキャラクター

『ストV』でのユリアンの性能云々は別にして、今回のアップデートで当初発表されていた追加キャラクターは6人全て実装されたことになる。

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昨年末の「Capcom Cup 2015」は、大会の盛り上がりから『ストV』が作り出す新たな格闘ゲームブームの到来を感じさせた。しかし今年2月の発売以降、『ストV』を取り巻く環境は決して順調とはいえず、運営の目論見が必ずしも図に当たったとはいえない。

今回のアップデート以降、少なくとも12月に開催が予定されている大規模大会「Capcom Cup 2016」まで大きな動きがある可能性は低いように思える。今後カプコンがどの程度力を入れて『ストV』を運営していくのかは即断を許さないが、ここで一度、今までのアップデート履歴を振り返ってみたい。

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・2月16日:発売・3月29日:追加キャラクター「アレックス」実装。ラウンジの人数が2人→8人へ。「ショップ」「トライアル」「デモンストレーション」追加。ゲームバランス調整等。

・4月29日:追加キャラクター「ガイル」実装。ゲームバランス調整等。

・7月1日:追加キャラクター「いぶき」「バイソン」実装。無料DLC「ゼネラルストーリー」配信。ゲーム内通貨「ゼニー」廃止等。

・7月27日:追加キャラクター「ジュリ」実装。有料コスチューム追加等。

そして先日のアップデートで一応の終了を見た形になるが、ようやくCPU戦は可能になったとはいえ要望の強いアーケードモードの未実装など、現状をもってしても格闘ゲームとして完成されたとはいいがたい。CFNなど独自のネットワークシステムも安定せず、ローディングの長さ、マッチング、切断問題など発売当初から残る課題は山積している。

 

高いプロゲーマーへの貢献度

一般ユーザーから納得のいく評価を受けるにはまだアップデートが必要な『ストV』ではあるが、今年一年を通して格闘ゲームプロの活躍の場を提供し続けているのは、疑いようがない。
全世界でほぼ毎週のように行われている「Capcom Pro Tour」では、スポンサードされた選手達がしのぎを削って年末の「Capcom Cup 2016」へ向けて挑戦を続けている。運営側も課金コンテンツの売り上げを賞金に上乗せするシステムを積極的に採用しており、一般プレイヤーよりもプロプレイヤーの方を向いていると揶揄されがちではあるが、かつて『ストリートファイター4』シリーズがいわゆる「動画勢」によっても牽引されてきた側面を考慮すれば、その方策が必ずしも間違いとは言えない。しかし多くのプロ達が懸念しているように、来年になっても同じ状況が続くとは限らない。

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「Capcom Cup」の先に

多くの一般プレイヤーの心を取り戻すために、多くのプロプレイヤーの活躍の場を残すために、まずは「Capcom Cup2016」の成功が必要不可欠だ。そこで発表されるであろう来年に向けた方向性を、今度こそ一般プレイヤーのニーズを掴むものにするのが、運営に課せられた大きな使命だろう。
先日、世界で最も大きな格闘ゲームの祭典「Evolution Championship Series(通称EVO)」の日本開催が再来年と発表された。その時に日本における格闘ゲームの位置づけがどうなっているのか、一つのジャンルの未来がそこにかかっている。

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大学時代4年間で累計ゲーセン滞在時間がトリプルスコア程度学校滞在時間を上回っていた重度のゲーセンゲーマーでした。 喜ばしいことに今はCS中心にほぼどんなゲームでも美味しく味わえる大人に成長、特にプレイヤーの資質を試すような難易度の高いゲームが好物です。