「PCゲーマーは我々にとって重要」、Ubisoft語る。歩み寄りで深い溝は埋まるか


Ubisoftは10月20日、Open Gaming Alliance(以下、OGA)への加入を発表し、PCゲーマーへの更なる理解を深めていくことを表明した。OGAとはPCゲーム業界非営利団体であり、加入しているメーカーに対してPCにおけるゲーム産業や消費者への深い理解を促す事を目的としている。UbisoftのマーケティングディレクターのSandrine Caloiaro氏はOGA加入の際に以下のように述べた。

“我々UbisoftにとってPCゲーマーは重要だ。彼らを理解しニーズに答え、彼らとの関係をもっともっと改善していかなければならない。OGAに加入し彼らのリサーチを頼りに、ベストな商業的展開をはかりながら、企業の志を高めたい。”

このOGAの加入は、UbisoftがPCゲーマーに対する歩み寄りの更なる一歩だと考えられるだろう。なぜならばUbisoftにとってPCは2番目に大きい市場だからだ。年々UbisoftのPCセールスは拡大しており、2015年7月~9月のUbisoftの売上のうちPCは23%を占めている。しかしこのようなPCゲーマーに対して歩み寄る声明をあげてもなお、UbisoftとPCゲーマーの間にある不和を解消できるかわからない。というのは、UbisoftとPCゲーマーの間には深い溝が存在しているからだ。

OGAは年々拡大し、IntelやUnity、Dellといった面々が参加している。
OGAは年々拡大し、IntelやUnity、Dellといった面々が参加している。

 

根深い遺恨関係

ひとつめは、独自クライアントUplayの存在にある。Ubisoftは全てのハードを対象に、Ubisoftのゲームを独自クライアントUplayを経由してプレイさせる方式を採用している。その中でも特に拘束力が強いのがPCだ。PCユーザーの多くはValve社のクライアントSteamを経由してゲームをプレイしている。Steamで購入したUbisoftのゲームは一部を除いて、Steamで起動しながらUplayでも起動するという二重クライアント状態になってしまい、メモリの圧迫やPCへの負荷がかかるといったデメリットが生じる。こういった理由で二重クライアント状態を引き起こすUplayは長きにわたり批判されている。弊誌でも取り上げたように、この二重クライアントも一部改善されているが、あくまでゲーム起動の手間が減ったというだけであり、二重に起動されてしまうという根本的な部分は未だ解決に至っていない。

また、2014年6月に『Watch_Dogs』が発売された際にはアジア限定であるが、Steamで購入したにもかかわわらずUplayの認証が通らず数日間プレイできないという不祥事も発生した。この件もSteamとUplayの二重DRMが引き起こした問題と言えるであろう。

アジアで起こった発売直後の『Watch_Dogs』騒動。購入してもプレイできない上、さらにその数日の間に『Watch_Dogs』のセールがおこなわれ、最安値を更新するという予約ユーザーには悲劇的な事件が起こった。
アジアで起こった発売直後の『Watch_Dogs』騒動。購入してもプレイできない上、さらにその数日の間に『Watch_Dogs』のセールがおこなわれ、最安値を更新するという予約ユーザーには悲劇的な事件が起こった。

ふたつめは過去のUbisoftとPCゲーマーとの確執にある。2012年にUbisoftのCEOであるYves Guillemot氏が「PCゲーマーの95%近くが違法ユーザーである」とGamesIndustry.bizに語ったことが、この遺恨の大きな発端と考えられるだろう。2014年11月には『Farcry 4』のディレクターのAlex Hutchinson氏が、いわゆる視野角と呼ばれるField Of View(以下、FOV)の設定を求めたユーザーに対して「PCユーザーたち!もし君がオンラインになってパッチを当ててまだFOVの改善を求めるなら……君は海賊版ユーザーだ!」とTwitterで発言し物議を醸した。

このような独自クライアントやUbisoftのスタッフの言動によってPCゲーマーはUbisoftに嫌悪を抱いているようだ。しかしこれらの問題をUbisoftは放置しているわけではない。2013年2月にはUplayディレクターのStephanie Perotti氏がPCゲーマーとの関係を語っている

“常にPCゲーマーとの関係の改善を模索している。数多くのフィードバックを行ない、『Farcry 3』でも『Assassin’s Creed III』でもPCで素晴らしいクオリティを出せた。”

過去にも何度か、このようなPCゲーマーとの関係修復を希望するような発言をしている。

実際にUbisoftはPCゲームの最適化に尽力しており、PCゲームのみ劣化しているなどといった不祥事を起こしているわけではない。しかしこのような歩み寄りがあったとしても、やはり、UbisoftとPCゲーマーの遺恨は根深く、両者の溝を埋めるには時間がかかるだろう。