Valve、PCゲーマーへの答えは「Steam Link」 「Machines」や「Controller」と共に11月発売へ

 
「Steam Link」

Valveは、Steamの「ホームストリーミング機能」に対応する「Steam Link」を正式発表した。Polygonなど、海外メディアが現地から伝えている。「Steam Link」は、Valveが発表していた「Steam Machines」や「Steam Controller」に続くハードウェア製品だ。この3種類の製品はいずれも2015年11月にリリースされる予定。HTCと共同開発するVRヘッドセット「Vive」も2015年ホリデーシーズンに登場予定であり、Valveは今年ゲームハードウェア市場へと大きく打って出ることになる。

 


PCゲーマーへの答え「Steam Link」

 

「Steam Link」
「Steam Link」

「ホームストリーミング機能」とは、同一ネットワーク上に存在する2台のコンピュータ間で、ストリーミングプレイを可能にするSteamのサービスだ。ローエンドのコンピュータから、ハイパワーなゲーミングPCをリモート操作し、Steam上でゲームをインストールしたりプレイすることが可能となる。今回発表された「Steam Link」は、この「ホームストリーミング機能」において、ストリーミングを受信する側のハードウェアである。例えば、「Steam Link」をリビングに置き、寝室にあるゲーミングPCとホームネットワークを介して接続すれば、リビングでも最新のSteamゲームをプレイすることができる。

「ホームストリーミング機能」は、そもそも「Steam Machines」に対応する形で発表されたものだ。「Steam Machines」は、単体でSteamのゲームをプレイすることが可能ではあるものの、搭載している「Steam OS」がLinuxベースであるため、Linux非対応のゲームはプレイできない欠点がある。Steamでは3500本以上のゲームがリリースされているが、Linux上でプレイ可能なタイトルは約1800本に留まる。「ホームストリーミング機能」を利用し、別のPCをもう一台用意すれば、「Steam Machines」上でもWindowsやMac専用のゲームが遊べるようになるというわけである。

とはいえ、様々なサードパーティーから発売される「Steam Machines」は、PS4やXbox Oneと同価格帯かそれ以上だ。すでに高価なゲーミングPCを購入、あるいは自作したPCユーザーにとって、「Steam Machines」はそれほど魅力的には映らなかっただろう。一方で今回発表された「Steam Link」は、1080p/60Hzに対応しており、価格は49.99ドルとなる。今回、トラックパッド搭載のゲーミングコントローラー「Steam Controller」も49.99ドルとなることが明らかとされており、およそ1万円を出せば、リビングでストリーミングプレイが楽しめることになる。ゲーミングPCを持っていないプレイヤーにとっては、引き続き「Steam Machines」が選択肢となるだろう。

 


新ゲームエンジン「Source 2」は"UGC"重視

 

UGCを簡単にやり取りできる「Steam Workshop」
UGCを簡単にやり取りできる「Steam Workshop

今回の一連の情報公開のなかで、Valveのゲームエンジン「Source」の後継となる「Source 2」もあらためて発表された。「Source」は『Half-Life 2』や『Left 4 Dead』、最近では『Tintalfall』などにも使用されてきたエンジンだ。『Black Mesa』や『Cry of Fear』など、Mod作品でも人気がある点が特徴である。

今回、「Source 2」の詳細は語られていないが、ValveのJay Stelly氏によれば、同エンジンは「クリエイターの生産性」が向上しており、特に「User Generated Content(UGC、ユーザー製コンテンツ)」が重要であるとされている。ロイヤリティなどについては不明だが、コンテンツ開発者には無償で提供されるとのことで、昨日のUnreal Engine 4に続きゲームエンジン無償化の動きが続いている。Khronos Groupの次期OpneGL API「Vulkan」に対応するバージョンも登場する模様だ。

ValveのSteamにとって、「UGC」は今やなくてはならない存在であり、今回の「Source 2」もその流れに乗った形になると見られる。実際にヘッドのGabe Newell氏は、昨年海外フォーラムにて、「Source 2」における最大の改善がUGC製作であると伝えている。すでにSteamコミュニティユーザーが製作したコンテンツ数は4億個に到達。『Team Fortress 2』や『Dota 2』では、ユーザーが製作したコンテンツがValveの承認を得てストアで販売された場合、売上げの一部を受け取ることができる。「Source 2」の登場により、「UGC」は今後さらに大きく成長する見込みもある。

もちろんプレイヤーたちにとっては、『Left 4 Dead 3』や『Half-Life 3』のような噂のタイトルが「Source 2」とともに登場するのかも、見逃せない点だろう。ゲームエンジンの詳細やビジネスモデル、対応タイトルなど、GDC中にさらなる「Source 2」のアナウンスがあるか、目が離せない状況だ。