『大逆転裁判2』のBGMがお気に入り。便意をこらえてトイレを目指す『Gotta Go』。死と再生の物語『Hellblade』。今週のゲーミング

 

Now Gamingは毎週日曜日、各ライターがその週にプレイしたゲームについて、ゆるく書きちらすコーナーです。92回目です。

 

棒人間に感情移入

今週は『Gotta Go』をプレイ。便意をもよおした会社員を操作してトイレまで導くゲームです。目的はシンプルながら、同僚が次々に話しかけてきては長話をするなど障害だらけ。「だまれ!」と一喝して先を急ぐこともできますが、そうすると人事評価が下がり今度はクビの危機に。すぐそこにあるトイレがこんなに遠いなんて。キャラクターは棒人間ですが、脂汗が吹き出しているに違いない。

ところでこのゲーム、胃がん患者の支援をおこなっている団体へのサポートを訴えており、ゲーム内でも「胃がんは笑い事ではない」とシリアスな論調で解説しています。一方で、本作のゲーム内でトイレに間に合わず失禁した場合は、同僚から「HAHAHA」と嘲笑されます。幸い大事に至ったことはないものの過敏性腸症候群に悩まされた経験を持つ身としては、こっちも笑い事じゃないんだけどなあ、と少し複雑な気持ちに。まあゲームなので素直に楽しめばいいのですが。
by Taijiro Yamanaka

 

死と再生の物語

今週は『Hellblade: Senua’s Sacrifice』をプレイ。死の受容・喪失からの回復を、北欧神話の世界を拠り所とする精神疾患者の視点から描くというもの。オープニング・クレジットではメンタル・ヘルス・アドバイザーの名を真っ先に出しており、精神病を題材にすることへの本気度がうかがえます。主人公セヌアの症状は、彼女が幼いころに教わった北欧神話を絡めた幻覚・幻聴という形で顕在化。彼女の前に広がるのは、亡くなった恋人の魂を救う余地のある、ほんの少しの希望が残された神々の世界です。それはセヌアにとって、自身の置かれた状況、愛しき人の喪失を、自分の中で理屈付けしやすい場所なのでしょう。

ちなみにセヌアのボイスとモーション/フェイシャルキャプチャーを担当したMelina JuergensさんはNinja Theoryのビデオ・エディター。俳優が決まるまでのプレースホルダのはずが、本開発で採用されるに至った迫真の演技に注目です。
by Ryuki Ishii

 

変人キャラのバリエーションが多すぎる

『逆転裁判』シリーズは初代から大好きなシリーズで、『大逆転裁判2』はシリーズの評判に違わぬ面白さでございます。その真髄はやはりテキストでしょう。キャラクターたちはかわいいし、面白いし、でもかっこいい。多種多様に魅力的なんです。プレイ中に何度クスッと笑ったことか。シナリオを担当している巧さんの腕なのか、巧さんだけでなくテキストライターも優秀なのか。よくこれだけキャラ設定の引き出しがあるなあと感心します。

しかしながら、一番お気に入りなのは『レイトンvs逆転裁判』で音楽を担当している北川さんが作曲するBGMですね。豪華ながらキャッチーで、『大逆転裁判』シリーズの世界観にぴったりはまります。ああ、いや、それを言うならグラフィック……てな感じで、なんでも褒められるほどベタボレです。『逆転裁判』シリーズは作品ごとに賛否両論あるものの、どれも起承転結がすばらしく、このクオリティのものを発売し続けているのは、なんともあっぱれです。
by Minoru Umise