A 5th of BitSummtに出展された国内未発売Nintendo Switch向けタイトルをリポート。Switch向けインディーゲームを探る


今月20・21日に京都で開催された「A 5th of BitSummit」では、さまざまなタイトルが出展されていおり、そのなかでも任天堂ブースを中心に多くのNintendo Switch作品が展示されていた。任天堂がNintendo Switch向けに多数のインディーゲームを展開しようとしていることは以前もお伝えしたが、国内では発売にいたっていないタイトルはまだまだあり、今回はそれらの作品を一足先に触れることができた。まだ日本で発売されていないNintendo Switch向けタイトルを数作品ピックアップし、その内容をお伝えしたい。

Overcooked Special Edition

任天堂ブースのなかで、特ににぎわいを見せていたのが『Overcooked Special Edition』だ。『Overcooked』はPC向けにリリースされているマルチプレイ対応の「エクストリームクッキングゲーム」。Nintendo Switchに最適化させた『Overcooked Special Edition』として、国内では2017年の夏に発売される。

本作は最大4人までのマルチプレイに対応している。車の上や北極、宇宙などバラエティ豊かな場所が調理場となっており、他プレイヤーと協力(時に敵対)して料理を完成させて出荷していく。今回プレイしたのは先に発売された英語版で、序盤のステージを遊ぶことができた。

まずフィールド内にある材料を見つけ、その材料をまな板に置いて切り、切った材料を調理していく。できあがった料理をお皿に移し、それをベルトコンベアに乗せて出荷させていくというのが、ゲームの基本的な流れとなる。誤って料理を火にかけたまま放置するとキッチンが炎上するので、消火が必要になったり、使ったお皿は洗わなければ再使用できないといった制約もある。この細かい作業をひとりでこなすことは非常に難しい。さらに出荷するには、料理を一定量作る必要がある。こうした作業を友人と分担しながら連携していくのが本作の趣旨だ。この連携がなかなか難しく、とにかくやることが多いので、細かく意見を交わしながらプレイしているとそのあいだに料理が焦げてしまう。かといって思いつきで行動していると、キッチンはたちまち大混乱になる。言葉を介さない阿吽の呼吸で進めていくことが重要になるのだ。

海外向けに発表された際には「HD振動を介してリアルな調理感覚が味わえる」と伝えられていたが、今回A 5th of BitSummitでプレイしたバージョンではHD振動は味わえなかった。任天堂ブースにいたスタッフによると「現時点でHD振動に対応するかは決定していない」とのこと。またオンラインプレイの搭載に関しても未定だそうだ。

Dusty Raging Fist

『Dusty Raging Fist』は、横スクロール型のアクションゲームだ。メトロイドヴァニアのような探索型のタイトルではなく、戦闘に力が入れられている。プレイヤーはウサギやキツネ、シカといった動物を擬人化させたキャラクターを選び、敵を倒しつつ先へ進んでいく。キャラクターごとに多彩なアクションが用意されている。弱攻撃や強攻撃・遠距離攻撃などさまざまな攻撃手段があり、システムはむしろ格闘ゲームに近い。一方で、狭い足場を飛び移っていくシーンもあり、横スクロール型のアクションゲームらしい要素もある。

本作は2014年に発売された『Dusty Revenge』の続編だ。しかし開発者によると、時系列的には『Dusty Raging Fist』は前作の前日譚になるとのことなので、シナリオのつながりなどは気にせずに遊べるという。キャラクターたちがなめらかに動く点も、本作の特徴のひとつだろう。ただ、攻撃アクション自体には爽快感があるものの、出現する敵が同じであるなど、やや単調な印象を受けた。こうした点については、自分のアクションゲームの腕前にあわせて難易度を調整できるほか、コンボなどを覚えていけば爽快感が楽しめるようになるとのこと。また、Joy-Conを使った3人までの協力プレイに対応しているという。ただし現時点ではオンラインに対応する予定はないようだ。

GoNNER

ここからはRaw Furyタイトルが続く。Raw Furyはスウェーデンを拠点とする、特にNintendo Switchでの展開に力を入れているパブリッシャーだ。今回BitSummitには、Nintendo Switch向け3タイトルを展示した。

任天堂ブースに展示してあったのは2Dローグライクアクションの『GoNNER』。ローグライク要素もあるが、アクションゲーム色が濃い。PCでもリリースされている本作では、プレイヤーはアメーバのような生き物ikkを操作し、奇妙な洞窟の奥底へと潜っていく。基本アクションは「ジャンプ」と「銃を撃つ」のふたつ。攻撃を避けつつ、敵に銃弾を撃ち込んでいく。ゲーム内には、小さなエリアに区切られており、こうした自動生成されるエリアごとに攻略していく形となる。

コンセプトはシンプルであるが、純粋なアクション性が求められるという点で非常に楽しい。うねうねと動くikkはやや操作しづらい特徴があるものの、壁ジャンプや二段ジャンプなど縦横無尽に動き回ることができる。銃を撃つには弾が必要であり、時に敵を踏みつけて倒すことで弾をドロップさせる必要があるなど、単に銃を撃っているだけではじり貧になってしまうので、緩急が必要になる。

BitSummit会場では携帯モードで『GoNNER』をプレイしたが、アクションをするたびに細かくHD振動が反応し、ゲームのエフェクトもあいまって、かなり気持ちよくプレイできた。操作なども違和感なく、昨年にPC版が発売されているとあって、しっかりと最適化されている印象だ。手探り感が強いので、ゲームに慣れるまでは時間を要するが、携帯モードでも十分に遊べるミニマルなアクションゲームに思えた。『GoNNER』は国内向けには6月に配信される。

Kingdom: Two Crowns

『Kingdom: Two Crowns』は横スクロール型の2Dストラテジーゲームだ。プレイヤーは国を追われた亡国の王もしくは王女となり、コインを使用することで兵を雇用したり弓矢やハンマーの道具を作ったりしつつ、巨大な王国を目指して拠点を築き上げていく。夜にはプレイヤーの頭に乗った王冠を狙いデーモンたちが襲い来るため、防備を固めておかなければならない。

プレイした感想としては、『Kingdom: Two Crowns』は『GoNNER』と同様に非常に手探り感が強い印象だ。自分の領土を探索し、道端に落ちている(もしくは、民に上納される)コインを拾って、兵などを雇用して国を守るのだが、ゲーム内でシステムに関して説明されることはまずない。国を歩いていると、対象となるオブジェクトの近くに寄るとコインアイコンが表示され、コインを使って初めて効果がわかることもある。コインを使っても効果がわからないことも多いだろう。そうした手探り感はプレイヤーを惹きつける反面、システムを把握しないまま夜になり敵に襲われることも多い。こうしたルールがわかるまでの手探り感に耐えられるかどうかが、このゲームを楽しめるかどうかのポイントになるだろう。ドット絵で描かれるグラフィックは美しく、寝転がってプレイしたり、出先で少しだけプレイするといった遊び方にもフィットする印象だ。

『Kingdom: Two Crowns』はPCやモバイルで発売された『Kingdom: New Lands』をNintendo Switch向けに最適化させたものとなる。詳細は明かされていないが、Joy-Conを使用した2人プレイに対応しており、そこから「Two Crowns」というタイトルになったようだ。今回2人プレイで遊ぶことはできなかったが、プレイに知恵を要するゲームであるだけに、友人とともに情報を共有しながら遊ぶのも楽しいだろう。ちなみに開発者にたずねたところ、オンラインプレイには対応しないとのこと。デモ版はすでに日本語に翻訳されており、違和感のないローカライズがなされている印象だった。なお、デモ版にはHD振動は実装されていなかった。

Dandara

『Dandara』は横スクロール型のアクションゲームだ。Raw Furyのタイトルは『GoNNER』『Kingdom: Two Crowns』ともに説明が少ない、手探り感の強い作品であったが、『Dandara』はさわればすぐにその魅力に気付くだろう。

本作は、ダンジョンを探索していく、いわゆるメトロイドヴァニアと呼ばれるジャンルとなる。ただ同ジャンルのタイトルと異なるのは、主人公のDandaraは真横に歩くことができないという点だ。ゲーム内の世界には360度重力があり、方向を定めて跳んでいくことが主な移動手段となる。足場となる床は一定時間留まっていると針が飛び出す場所が多いので、めぐるましく移動していくことが求められる。またDandaraは飛び道具を持っており、射撃など遠距離攻撃を用いて敵を倒していくことも重要だ。こうした仕様により、縦横無尽に跳びまわり、敵を撃って倒すスピード感のあるゲームプレイが楽しめる。

プレイする前はビジュアルなどもあいまってやや地味な印象を受けていたが、実際にプレイしてみると跳びまわるアクションが気持ちいい。操作もNintendo Switchにも最適化されており、引っかかりやストレスなく楽しめた。また跳ぶ方向を決める際にも、自動で方向修正のアシストがおこなわれるので、跳ぶ快適さはそのままに、苛立ちなどは感じなかった。難易度は高くなりそうな予感はあったが、『メトロイド』に親しみのある任天堂ユーザーとは親和性がありそうだ。こちらもすでに日本語に翻訳されていた。デモ機ではHD振動は実装されていなかった。

Earth Atlantis

また今回デモ機は出展されてなかったが、今後Nintendo Switch版の発売が予定されている『Earth Atlantis』のPC版をプレイした。開発元であるタイのスタジオPIXEL PERFEXのAnucha Aribarg氏は、同作を『グラディウス』と『モンスターハンター』を組み合わせたタイトルになると語っている。

セピア調で描かれる手書き風の海を舞台に、プレイヤーは潜水艦を操縦し探索する。システムとしては横向きに進行していくシューティングとなっており、確かに『グラディウス』の影響を感じられる。さらに本作は「ボスとの戦い」に焦点を置いており、その点が『モンスターハンター』から影響を受けた点となっているようだ。マップを探索をして強くなった後は、エリア内に複数存在するボスを倒すことが最終的な目標となる。究極的に言えば、ボス以外と戦う必要はなく、エリア内に存在するボスを討伐することが重要になる。巨大なボスとの戦いは、緊張感があるが爽快感もある。難易度も程よく仕上げられており、別ジャンルであるが、『モンスターハンター』をモチーフとしているのもうなずける。操作感は非常によく、エフェクトなども派手でゲームプレイとして非常に楽しく感じた。Nintendo Switch上ではどのようなパフォーマンスになるかは不明であるが、続報が楽しみだ。

 

筆者の感想としては、プレイしてすぐに面白さを感じられたのは『Dandara』だ。『Overcooked Special Edition』に関して初対面の人とも楽しめたので、今後鉄板タイトルとなりえるだろう。どのタイトルも、まだまだ移植途中であることが目立ったが、こうしたインディーゲームを持ち運んで遊べるという魅力は計り知れない。今後もNintendo Switchにおけるインディーゲームのリリースには目が離せない。