『League of Legends』2016シーズンがいよいよ開幕。EU LCSの見どころを紹介

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欧州の復権、組織力に劣る中国や北米の凋落、そして圧倒的なまでのパフォーマンスを見せたFaker選手らによって2回めの世界大会優勝を果たしたSK Telecom T1。前年までと比べても多くのドラマによって彩られた『League of Legends』2015シーズンだったが、いよいよ新たな環境、新たなバージョンでの新シーズンの開幕が目前に控えている。ここではRiot Gamesが直轄で運営している「League of Legends Championship Series」(以下、LCS)が開催される欧州および北米のリーグの特徴と、各チームの紹介を行っていく。もうすぐ始まる各リーグをより楽しむための一助となれば幸いだ。今回は開催日程の早い欧州リーグについて紹介する。

二大リーグのもうひとつ、NA LCSのチーム紹介については、こちらを参照いただきたい。

 

EU LCS概観

二つのLCSの一翼を担っているのが欧州だが、リーグの様相は大いに異なる。欧州およびロシア圏から多くの才能ある選手が発掘され、切磋琢磨しているのがEU LCSだ。2013~2014シーズンは、コーチやアナリストも潤沢な人材を揃えた強力な組織力と厚い選手層を擁するアジア勢に対し、選手の技術頼りのチーム運営を行っていたLCSのチームはWorlds(World Championship、世界大会)などの国際大会では後れを取っていた。しかし欧州においては2015シーズンは組織の強化が実を結び、Worldsにおいてベスト4に2チームを送り込むことに成功している。また、優れたアナリスト陣と才能あふれる選手たちにより、新しい戦術・戦略が真っ先に披露されるリーグとしても注目されるようになった。アジア勢有利の下馬評を2015シーズンのWorldsで覆したのは、メタゲームを先導した欧州勢の躍進によるところが大きかったからだ。

この結果は2015シーズン終了後にEU LCS生え抜きの選手による北米への移籍が相次ぐという事態を招きもしたが、充実したコーチやアナリスト陣によって人材を伸ばすシステムが整えられている欧州ならば、新たなスターの誕生を楽しむこともできるだろう。

 

チーム紹介

以下、2016 EU LCS Spring Splitに参戦するチームを紹介していく。2015シーズンの入れ替え戦および最下位との入れ替えによる新規参入が2チーム。資金繰りの問題等から売却・名義変更の末に実質新体制となったチームが1チーム含まれており、昨シーズンからの7チームとあわせて計10チームにより争われる。

各選手のゲーム内ポジションも併記してあるが、ポジションの意味するところがよくわからない向きは、過去に掲載したポジション解説記事を参考にされたい。プロシーンの本格始動を前に、ポジション解説をはじめとして試合の見方全般を解説した『LoL』観戦の手引きシリーズも、あわせておすすめしておく。

 

Fnatic

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  • 2015 Summer Split Regular season 1位
  • 2015 Summer Split Playoff 優勝
  • 2015 Worlds ベスト4

2014年の終わりにスターティングメンバ―の5人中4人がチームを脱退するという緊急事態に陥ったものの、新たなメンバーによるチーム再編に成功。2015年を通して強豪としての地位を保ち、2015 EU LCS Summer Splitにおいて前人未到の18勝0敗を成し遂げた。

新生したチームで春シーズンの最優秀新人賞を獲得し、Worldsでも大暴れしていたTopのHuni選手、相棒たるJunglerのReignover選手、不動のリーダーであったSupportのYellOwStaR選手が北米チームへの移籍で脱退したものの、欧州随一と言われるMidとADCのタレントは健在。なによりも、オフシーズンのチーム崩壊からの再建で躍進してみせたのが昨年のFnaticでもある。チーム再建の立役者であるヘッドコーチ・Deilor氏の手腕が再び問われるシーズンとなりそうだ。

  • Top: Noh “Gamsu” Yeong-Jin
  • Jungle: Lee “Spirit” Da-yoon
  • Mid: Fabian “Febiven” Diepstraten
  • ADC: Martin “Rekkles” Larsson
  • Support: Lewis “Noxiak” Felix

注目の選手:Gamsu選手(Top)

画像出典: Riot esports Flickr
画像出典: Riot esports Flickr

韓国出身で、2015シーズンは北米の古豪チームDignitasにおいてTopを務めていたが、このオフシーズンに北米より移籍した珍しいプレイヤー。北米は欧州と比較して給与などで圧倒的に好条件であるため、欧州からの人材流出を招いている面がある。Dignitas時代はコミュニケーションや振る舞いの面で問題があったようだが、厳しくチームを律することで知られるヘッドコーチDeilor氏の元でその才能をチームのために十全に振るえるかが注目される。

 

Origen

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  • 2015 Summer Split Regular season 2位
  • 2015 Summer Split Playoff 準優勝
  • 2015 Worlds ベスト4

2014シーズン終了時にFnaticを脱退したxPeke選手が立ち上げた新鋭チームであるOrigenは、瞬く間にEU LCS へと昇格し、Summer SplitにおいてWorldsの出場権を獲得すると、ベスト4という結果を残すことができた。チーム運営とプレイヤーの二足のわらじを履いていたxPeke選手の負担が大きすぎることもあり、今回の移籍市場では元Unicorns of LoveのPowerOfEvil選手をMidとして新たに獲得している。その他メンバーの変更はほとんど無く、老練なベテランであったxPeke選手と比べ、より攻撃的なプレイを得意とする新たなMidを加えて、今シーズンも台風の目たりえるかが注目される。

  • Top: Paul “sOAZ” Boyer
  • Jungle: Maurice “Amazing” Stuckenschneider
  • Mid: Tristan “PowerOfEvil” Schrage
  • Mid: Enrique “xPeke” Cedeno Martinez
  • ADC: Jesper “Zven” Svenningsen (旧名: Niels)
  • Support: Alfonso “Mithy” Aguirre Rodriguez

注目の選手:PowerOfEvil選手(Mid)

画像出典: Riot esports Flickr
画像出典: Riot esports Flickr

昨シーズン、Unicorns of LoveでMidを務めていた選手。ゲームバランスの影響もあったが、チームのダメージの大半を叩き出す役を担っていた。その集団戦におけるその戦闘力は圧倒的というに相応しく、新たなチームでもその剛腕を振るってくれるはずだ。

 

H2K gaming

画像出典: H2K gaming
画像出典: H2K gaming
  • 2015 Summer Split Regular season 3位
  • 2015 Summer Split Playoff 3位
  • 2015 Worlds Group C 敗退

2015年からEU LCSに昇格したH2K gamingは、新鋭チームとしては順当な結果を収めているといえる。とはいえ、夏からリーグに参戦したOrigenに後塵を拝し、WorldsではMidのRyu選手が因縁の対決相手であったFaker選手に敗れるなど、殻を破りきれずに2015年を終えたのも事実だ。今期の移籍市場ではROCCATからJunglerのJankos選手およびSupportのVandeR選手を、さらにはADCに2015シーズンのSpring SplitでMVPを獲得したFORG1VENGRE選手を獲得した。大きな賭けに出た格好だが、今シーズン欧州の雄になりえるかが問われることになるだろう。

  • Top: Andrei “Odoamne” Pascu
  • Jungle: Marcin “Jankos” Jankowski
  • Mid: Yoo “Ryu” Sang-wook
  • ADC: Konstantinos “FORG1VENGRE” Tzortziou
  • Support: Oskar “VandeR” Bogdan

注目の選手:FORG1VENGRE選手(ADC)

画像出典: Riot esports Flickr
画像出典: Riot esports Flickr

元Gambit GamingのADC。SK Gamingに所属していた2015シーズンのSpring SplitにおいてMVPを獲得し、同チームが収めたSpring Split 1位という成績に大きく貢献している。その後Summer SplitにGambit Gamingへと移籍、最終的にはチーム環境の問題等によりあまり結果を出せなかったが、バランス調整により環境から外れているようなチャンピオンで勝つことのできる技量を持っているのも事実。多少の問題はあるものの、試合本番と練習でのパフォーマンスのブレが少ないという稀有な選手でもあり、真価を発揮すればチームの躍進に大きく貢献できるはずだ。

 

Unicorns of Love

画像出典: Unicorns Of Love Facebook
画像出典: Unicorns Of Love Facebook
  • 2015 Summer Split Regular season 4位
  • 2015 Summer Split Playoff 4位

H2K同様に、2015年からEU LCSに昇格したチームであるUnicorns of Love。2015年のSpring Splitでは、大胆かつ奇抜な戦略によってリーグ上位に食い込んだものの、続くSummer Splitにおいては新鋭チームOrigenの隆盛やメタの変化により苦戦を強いられた。今シーズンの移籍市場の結果、チームのダメージ出力の過半を担っていたPowerOfEvil選手を失うことになったが、FOX選手(元SK Gaming)、Diamondprox選手(元Gambit Gaming)、Steelback選手(元Fnatic)という、かつて強豪チームに在籍した実績のある選手陣をチームに迎え入れる事となった。個性的なチームとしてファンを抱えているので、その路線を維持したままに勝ち上がってほしいところだ。

  • Top: Kiss “Vizicsacsi” Tamas
  • Jungle: Danil “Diamondprox” Reshetnikov
  • Mid: Hampus “Fox” Myhre
  • ADC: Pierre “Steeelback” Medjaldi
  • Support: Zdravets “Hylissang” Galabov

注目の選手:Diamondprox選手(Jungler)

画像出典: Riot esports Flickr
画像出典: Riot esports Flickr

昨シーズンまでGambit GamingでプレイしていたJunglerの選手。2012シーズンのWorldsで一気に頭角をあらわし、世界最高のJunglerの一人に数えられていたこともある名選手だ。Gambit Gaming時代はビザの問題などから十分に練習できないケースが多く、選手たちは思うように結果が出せていなかったという面も見られた。積極的かつ独特なプレイスタイルで試合を勝利に導くことのできる選手であり、新たなチームでもその技量を十分に発揮してもらいたい。

 

Roccat

画像出典: ROCCAT Twitter
画像出典: ROCCAT Twitter
  • 2015 Summer Split Regular season 5位
  • 2015 Summer Split Playoff 5~6位

2014年からEU LCSに参加しているROCCATは、可もなく不可もないチームというのが率直な感想だ。降格ラインというほどではないが、Worldsを狙える位置にはつけず、過去に国際大会でも大きな結果も残せていない。2015シーズン終了後にスターティングメンバ―を全員放出してしまっており、今シーズンはGambit Gaming、SK Gaming、Unicorns of Loveなどから移籍してきた新メンバーでの戦いとなる。図らずも再起を目指す選手たちが集まり、再びLCSへと挑むためのチームとなった。

  • Top: Simon “fredy122” Payne
  • Jungle: Karim “Airwaks” Benghalia
  • Mid: Felix “Betsy” Edling
  • ADC: Karim “Safir” Tokhi (旧名: Jebus)
  • Support: Edward “Edward” Abgaryan

注目の選手:Betsy選手(Mid)

画像出典: Riot esports Flickr
画像出典: Riot esports Flickr

2015シーズンにGambit Gamingに所属していたMidレーナーで、マレーシア国籍の選手。Spring Splitは好調だったものの、Summer Splitはチーム全体が上手く機能していない時期だったこともあり苦戦を強いられた。EUでも特に厳しい戦場であるMidでも引けを取らない腕前であり、新チームが上手く機能すれば十分に活躍のチャンスはあるはずだ。

 

Giants Gaming

画像出典: Giants Gaming Twitter
画像出典: Giants Gaming Twitter
  • 2015 Summer Split Regular season 6位
  • 2015 Summer Split Playoff 5~6位

2015シーズン初頭からEU LCSに昇格したスペインのチーム。同国出身のxPeke選手を尊敬する彼らだったが、プロリーグの荒々しい洗礼を受け、Spring Splitは下位リーグとの入れ替え戦に臨む結果となった。Summer SplitはSupportのG0DFRED選手の加入や、TopのWerlyb選手のJaxによる奇襲によりシーズン序盤を有利に進めたものの、チャンピオンプールの狭さが仇となり、得意チャンピオンをBANされるようになってからは苦戦することとなった。2016シーズンはTopおよびJunglerの選手が入れ替えとなっている。いずれも新人に近いプレイヤーではあるが、活躍に期待したい。

  • Top: Peter “Atom” Thomsen
  • Jungle: Tinh Tri “k0u” Lam
  • Mid: Isaac “PePiiNeRO” Flores
  • ADC: Adrian “Adryh” Perez
  • Support: Oskar “G0DFRED” Lundstrom

注目の選手:G0DFRED選手(Support)

画像出典: Riot esports Flickr
画像出典: Riot esports Flickr

2015シーズン Summer Splitからチームに加入した選手。MorganaをPickした試合の勝率が100%を誇る一方で、そのMorganaが使用できない試合ではほとんど活躍できていない状態で昨年を終えている。ゲームバランスと戦略が変化していくにしたがい、単なる支援・フォロー役の枠を超えてゲーム全体へ寄与するようになったSupportというポジション。その影響は、競技シーンにおいて非常に大きくなっている。昨年以上の結果を出すためには、チャンピオンプールの狭さという弱点の克服がなんとしても必要となるだろう。

 

Elements

画像出典: Elements Facebook
画像出典: Elements Facebook
  • 2015 Summer Split Regular season 7位

2014シーズンのEUを強豪チームのAllianceを母体として2015年に作られたチームがElementsだ。綺羅星のような強豪選手をずらりと揃えた布陣でシーズンを開始したこのチームは、チームの戦略を統括する適切なスタッフやコーチの不在により勝ち星を挙げることができず、選手のタレントだけでは勝てないという2015シーズンの傾向を如実に表すチームとなってしまった。辛うじて入れ替え戦を免れたものの、チームは大幅な刷新を余儀なくされている。EUを代表するMidの一人で看板選手だったFroggen選手が北米に移籍してしまったことも痛手だ。コーチや戦略アナリストを含めたチーム作りが求められる現在の競技シーンへ上手く適応できるのだろうか?

  • Top: Etienne “Steve” Michels
  • Jungle: Berk “Gilius” Demir
  • Mid: Jeremy “Eika” Valdenaire
  • ADC: Rasmus “MrRalleZ” Skinneholm
  • Support: Hampus “sprattel” Abrahamsson (旧名: PromisQ)

注目の人物:Nyph氏(ヘッドコーチ)

画像出典: Riot esports Flickr
画像出典: Riot esports Flickr

放出された他チーム控えの選手をメインに再構成されたElementsのコーチを務めるのが元SupportのNyph氏だ。組織としての戦いにおいて苦い敗北を味わったElementsを、新たなチームとして再建できるかは彼の双肩にかかっているとも言えるだろう。当面はチームをまとめ、安全圏で戦えるかどうかが目標になりそうだ。

 

Team Vitality(旧名:Gambit Gaming)

画像出典: Team Vitality
画像出典: Team Vitality
  • 2015 Summer Split Regular season 8位

2015年終盤において、スポンサーを失い売却されることとなったGambit Gamingを元とする実質上の新チーム。このチームの歴史は古く、かつてのチーム名を「Moscow 5」。2012年頃の国際大会で圧倒的な存在感を放っていた。ゲームバランスやプロシーン制度の変遷とともに、目まぐるしく流転し続けたチームの現在から思い返してみると、一抹の寂寥感がある。新チームにおいて元Gambit Gamingの選手はTopのCabochard選手のみ。他には、H2Kのチームメンバーを瞬く間にまとめ上げたKaSing選手がSupport、その相棒として同じくH2KのADCだったHjärnan選手とBotレーンのコンビをそのまま編入している。さらにはベテランのMidであるNukeduck選手をROCCATより獲得し、また全盛期のAllianceでJunglerを務めたShook選手と強力なラインナップを揃えている。

  • Top: Lucas “Cabochard” Simon-Meslet
  • Jungle: Ilyas “Shook” Hartsema
  • Mid: Erlend “Nukeduck” Holm
  • ADC: Petter “Hjärnan” Freyschuss
  • Support: Raymond “kaSing” Tsang

注目の選手:KaSing選手(Support)

画像出典: Riot esports Flickr
画像出典: Riot esports Flickr

KaSing選手は単なるSupportとしての技量のみならず、5人のプレイヤーを有機的なチームとしてまとめ上げる能力に長けている。かつて在籍したH2Kの躍進はもちろんのこと、2015シーズン終盤の国際大会IEM San JoseにおいてWorlds終了直後にメンバーがほとんど入れ替わりとなった北米のTeam SoloMidの急造メンバーを務めた際も、十分な働きを見せていた。Team SoloMidでのSupportはワンポイントリリーフに終わったものの、新チームでもその才能を遺憾なく発揮すれば、豪華なラインナップを十全に活かしてくれるはずだ。

 

新たな挑戦者たち

G2 Esports

画像出典: G2 Esports
画像出典: G2 Esports

G2 Esportsは2015シーズンのSummer Split後に行われた入れ替え戦において、古豪にして名門チームだったSK gamingを下してEU LCS参加に名乗りを上げた新鋭チームだ。その発足に、かつてSK gamingのMidとして名をはせたocelote選手が関わっているのは運命の皮肉だろうか。選手のタレント頼みで戦うことの限界を感じた同選手がSK gamingを離れて、EU LCSで十分に戦える組織として作り上げたのがこのチームということになる。昇格戦で活躍したMidのPerkZ選手に加え、ADCにはLCSを始めとする海外リーグ経験が豊富な韓国人選手であるEmperor選手、そして韓国の強豪CJ EntusからJungleのTrick選手を獲得しての補強を行ったG2。2016シーズンから始まる新たな挑戦に注目だ。

  • Top: Mateusz “Kikis” Szkudlarek
  • Jungle: Kim “Trick” Gang-yun
  • Mid: Luka “PerkZ” Perkovic
  • ADC: Kim “Emperor” Jin-hyun
  • Support: Glenn “Hybrid” Doornenbal

注目の選手:Emperor選手(ADC)

画像出典: Riot esports Flickr
画像出典: Riot esports Flickr

元は韓国のCJ Entus Blazeに所属していた選手。その後南米リーグに渡り、同リーグのトップチームであるKeyd Starsでその腕を振った。その後に所属したThe Dragon Knightsでは結果を残していないが、このチームはビザや選手獲得に関して多くの問題を起こし、チームとしての体制を整えられなかったため、彼が試合に出る以前の問題であったといえよう。最強地域である韓国サーバーのランキングでも相当な順位に付けており、技術的には確かなものがある。昇格チームという難しい環境ではあるが是非活躍を期待したい。

 

Splyce(旧名:Dignitas EU)

画像出典: Splyce Facebook
画像出典: Splyce Facebook

マルチゲーミング組織「Dignitas」が抱えるヨーロッパのLoLチーム「Dignitas EU」が昇格に際して売却された(*1)ことで名称を変更した新たなEU LCS参加チーム。プレミアリーグであるEU LCS参加経験のあるプレイヤーはJunglerのTrashy選手のみだが、全員がデンマーク国籍であること、一つのチームで長く戦っているメンバーが多いことからコミュニケーションにおいては万全と言えるだろう。まったくの新人が多数を占める昇格チームの多くは「プロリーグの洗礼」を受けて苦戦することが多いが、彼らはどのような運命をたどるのだろうか。

  • Top: Martin “Wunderwear” Hansen
  • Jungle: Jonas “Trashy” Andersen
  • Mid: Chres “Sencux” Laursen
  • ADC: Kasper “Kobbe” Kobberup
  • Support: Nicolai “Nisbeth” Nisbeth

(*1)LCSの規約においては、「一つの団体からLeague Championship Seriesに参加できるのは1チームまで」という制限がかかっている。Dignitasは既に北米のLCSに参加しているTeam Dignitasを所有していたため、Dignitas EUの昇格が決まった時点でいずれかのチームを売却する必要があった。

注目の選手:Trashy選手(Jungler)

画像出典: Riot esports Flickr
画像出典: Riot esports Flickr

2015シーズンを北米リーグのEnemy E-sportsで戦っていたJungleの選手。チームメンバーのほとんどはLCSでの試合経験が無く、彼のみがLCS経験者ということになる。絶大なプレッシャーがかかるトップリーグでの試合環境において、チームメイトをフォローし、戦える状況を作っていけるかは彼の働きにかかっているかもしれない。

 

開催スケジュール

2016 EU LCS Spring SplitのスケジュールはLoL eSports掲載の告知にて確認できる。こちらの時刻表記はCET(中央ヨーロッパ時間表記)となっている。日本時間では1月15日午前2時より、Fnatic vs. Origenの試合をもって2016シーズンが開始となる。Riot GamesはLCSの試合を毎週配信しており、公式サイト「LoL e-Sports」にて生配信および過去の試合録画が視聴可能となっている。

歴史的にメタの発祥地として知られ、最先端の戦略が飛び交う最高峰のリーグであるEU LCS。刷新したチームと激変する環境においては安穏と勝利を得られることがもはやないことは2015シーズンにおけるSK gamingの降格(Spring 1位→Summer 9位→入れ替え戦敗北)でも明らかになっている。もっとも苛烈なリーグの戦いを楽しんでほしい。

「選手の大流出」
「Yellowstarはもういない」
「Gambitはもうない」
「でも、良い方向へ変わっているものもある」
「EUは、強いから」
「EUは、競技シーンの発祥地だから」
選手や実況解説者たちの力強い言葉が語られる、EU LCSティーザー。

[執筆協力: ユラガワ@Wired-Lynx]

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