DeNAが本気で取り組むこれからのモバイルゲームの方向性とは。GTMF 2017 Meet-Ups

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ゲーム開発ツール&ミドルウェアの祭典「GTMF(Game Tools & Middleware Forum)」内で開催される「Meet-Ups」に登壇した開発者にフォーカスを当てインタビューするこの企画。第十弾は、株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)ゲーム・エンターテインメント事業本部 Japanリージョンゲーム事業部組織開発部の本所卓也氏にお話をうかがった。

DeNAといえばMobageを中心としたブラウザゲームに強いという印象を持つ方も多いだろう。しかし今回のMeet-Upsでは、アプリベースのゲームを開発するための人材を募っていた。DeNAはどのようなモバイルゲームを作ろうとしているのか、そのために必要な人材とは。 本所氏に語っていただいた。

――自己紹介していただけますか。

本所卓也氏(以下、本所氏):
本所卓也と申します。DeNAのゲーム事業部の中で採用責任者をしております。2008年からDeNAに在籍していて、今年で10年目になります。私自身はサーバーサイドのエンジニアをやっていたこともあったり、ゲームを作る立場であったりしたこともあるんですが、今はどちらかというと組織を作る部署のなかで、ゲームクリエイターを支える立場でゲーム事業に携わっています。

――今回のMeet-Upsで話された内容について、軽くおさらいしていただけますか。

本所氏:
一言でいうと「本気で新しいゲーム作りに集中したい仲間募集中」という感じでしょうか?我々はブラウザゲームの印象が強いというところもあって、なかなかコンシューマーゲームを作る方々に、DeNAがどういうゲームを作っているのか認知されていないというところがあると思います。我々は、2012年頃からアプリゲームの開発に本腰を入れて着手していて、それにあたってDeNAの今後のゲーム作りを支えるエンジニアを中心とした採用を強化しています。

――DeNAとして来てほしい人材はどんな方ですか。

本所氏:
我々はもともとモバイルのブラウザゲームを得意としていたこともあり、モバイルゲームならではの面白さがあるものを作っていきたいと思っています。グラフィックスに関しても、むやみにハイエンドを目指すことはしておらず、その時に必要な物を効率的に作ることを目指しています。
そういう環境のもとで新しい挑戦をしてみたいと思う方や、モバイルゲームに挑戦してみたいと思う方に来ていただきたいです。

――コンシューマーゲームの開発の形態というのは、比較的イメージが湧きやすいんですが、モバイルゲームの開発のサイクルというのはどのようなものなのでしょうか。

本所氏:
実はあんまり違いがないと思っているんですよね。モバイルゲームだとネットワークにつなぐので、サーバーをさわるスキルだとかが必要なんじゃないかという印象がある方もいるとは思うんですが、DeNAの場合はサーバーに関するプラットフォームができあがっているので、ゲームを実際に作る人たちはサーバーについて気にせずゲーム作りができるようになっています。そういう意味で、コンシューマーゲームの開発に近しい環境になってきていると思います。コンポーネントをかけ合わせることで、面白いゲームを作れるかなと。

モバイルゲームに対して、一昔前のブラウザゲームのイメージが未だに強く残っている方も多くいらっしゃると思いますが、実際はアクション性だとか、インタラクションの多いシステムに耐えうるような基盤もかなり実戦投入されており、すでに大規模なアプリを世に出してる状態です。

――なるほど。先程の話でいうと、逆にDeNAに入ることで開発者が得られるものはなんでしょうか。

本所氏:
コンシューマーゲームは今では相当開発期間が長いですよね。そういうところから見るとモバイルはまだまだ短い方だと思うので、多くタイトルを手がける経験ができるというのはあります。ほかにも、幅広いユーザーさんにさわってもらえるゲームタイトルに挑戦できるというのは、モバイルゲームならではの魅力だと思います。また、プレイヤーさんの動きを見て問題点を分析し、ゲームの改善に繋げる運営の中での開発経験を積むことができるのもDeNAの強みかと思います。

『逆転オセロニア』

――モバイルゲームはとにかく多く作られ続けています。そういったモバイルゲームがあふれる時代のなかで、DeNAはどのような立ち位置を目指していますか。

本所氏:
スマートフォンだからこそ楽しめるUXや遊びをやりたいなと思っているんです。グラフィックスで戦おうとしているわけではなくて、ゲームだけでは完結しないプラットフォームで、他のエンタメとの掛け算で新しい面白さを提供していきたいと思っています。難しいとは思うんですけど、ゲームを立ち上げようとして始めるゲームではなくて、日々の生活のなかでFacebookのアプリを立ち上げるのと同じような感覚で、知らない間にゲームを遊んでいるような、今までにないゲームの入り口みたいなものを発明したいよね、ということは考えています。

――そう聞くと、ノンゲーム寄りのものをイメージします。

本所氏:
これからゲームの既存の概念は変わっていくと思うんです。そのなかで、プレイヤーさんに対して新しい価値を提供するということをやりたいですね。たとえば、Instagramとかすごい数の利用者がいるじゃないですか。あれもひとつの革命ですよね。あのような動きを取り込めないかとプランニングしています。そういう方向から考えていくのは、DeNAならではのゲーム作りなんじゃないかなと思っています。

――確かに、『戦魂 -SENTAMA-』も『逆転オセロニア』もどちらも既存のジャンルではありながら一定の「新しさ」に挑戦しているように感じました。「新しさ」については今も取り組まれていますか

本所氏:
あー、いくつか「新しい」プロジェクトは走っているんですが、いかんせん言えないですからね。(笑)ひとついえるのは、インタラクションの多いゲームを作っていこうという傾向があるのかなと思います。たとえば『戦魂 -SENTAMA-』では、シミュレーションでありながらわらわら感の演出に力を入れています。ローポリゴンでのゲーム出力ですけど、ひとつの端末でどれだけわらわら感が出せるかという挑戦もありました。

あと、スマホならではの機能というと、カメラとかセンサーとか、ほぼ全端末に搭載されているわけじゃないですか。さらにそれをひとり一台持っている時代です。それってすごいことだと思います。そういった機能を駆使してできるといいなと思います。すでに出来上がっている行動というのはヒントになりますよね。みんなやっている行動をゲームに結び付けられたら、面白い体験を提供できるんじゃないかなと。

うちはサーバー周りの大規模なトラフィックの処理や、課金決済周りなど「ゲームには絶対必要であるけど、ゲームとは直接関係ないインフラ」は整っているので、エンジニアは、ゲームの面白さのコアの部分に専念できる環境だと思います。

――ブラウザゲームって、「ポチポチゲー」というイメージが強いと思うんです。ブラウザゲームで大きく業績をのばしたDeNAが新しい挑戦をしようとしているのは、あまり知られていないですよね。

本所氏:
そうですよね。「そうじゃない、脱却しようとしているんだ。」というところはちゃんと正しく伝えていきたいですね。あとうちの強みは「運営力」です。長く遊んでいただくために、運営しながら新しい遊びを提供していって、愛されるゲームを生み出していくのがうちの売りなんで、そのために人海戦術が必要なゲームは作りたくないんですよ。効率的にプランナーさんやデザイナーさんたちが仕事して、継続的にクオリティの高い、面白いコンテンツを提供できる基盤を作りたいなと思っています。

――ありがとうございました。

[聞き手: Minoru Umise]

GTMF
GTMF(Game Tools & Middleware Forum)はアプリ・ゲーム開発・運営に関わるソリューションが一堂に会するイベント。2003年にスタートし、今年で15年目。大阪会場は2017年6月30日、東京会場は7月14日に開催された。

 

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