引き続きGTMF 2016大阪会場Meet-Ups特集をお届けする。第5弾は、CEDECなどさまざまな講演でもおなじみの、株式会社イリンクス代表取締役社長・田中宏幸氏。プレゼンは明日開催の東京会場でもおこなわれる。

 

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コンシューマ開発で使用しているツール&ミドルウェア紹介

株式会社イリンクス代表取締役社長 田中宏幸氏
株式会社イリンクス代表取締役社長 田中宏幸氏

株式会社イリンクスは、コンシューマゲーム開発を得意とするデベロッパーで、PS4、PS3、PSVitaなどに向けた数多くのタイトルを手がけている。代表取締役社長の田中宏幸氏はプレゼンの冒頭で、「株式会社ヒストリアさんと内容がかぶってしまったが、初めて聞いたふりでリアクションをしてください」とコメントし、会場をなごませた。

『ガンダムブレイカー3』はシリコンスタジオの「OROCHI」と「Mizuchi」を使って開発し、特徴としてPS4とVitaのマルチプラットフォーム展開ができる点をあげた。プレゼンではVita版とPS4版が比較できるスライドを使い、画質はVita版のほうが劣るのだが基本的に同じモデルを使ったと説明。PS4・Vita案件の際にはぜひ「OROCHI」と「Mizuchi」を思い出してほしいと語った。

プレゼンタイトル「コンシューマ開発で使用しているツール&ミドルウェア紹介」については、冒頭でもあったように株式会社ヒストリアとかぶっていた部分もあったのだが、バージョン管理に使っているGitの説明など、興味深いお話が多かったので、ぜひ東京会場にて直接聞いてみてほしい。

[パートナー企業: シリコンスタジオ株式会社]

田中氏はシリコンスタジオブースに座っている確率が高いので、東京会場にて「話を聞きたかったけど見失ってしまった」ということになった場合は、ブースナンバー23をたずねるといいだろう。

 

熱いコンシューマ愛が数々の実績を生む

――イリンクスさんはシリコンスタジオさんのグループということですが、グループならではの強みというのは何でしょうか?

田中宏幸氏:
色々ありますが、一つはのシリコンスタジオのミドルウェアを使えるということでしょうか。シリコンスタジオ社の隣ぐらいで働いてますので、ミドルウェアでわからないことがあった場合、「コンコン、ガチャ、ココわかんないんだけど」みたいな感じで、すぐに聞きに行けます(笑)そのため弊社のプログラマーは十数人しかいないんですけど、シリコンスタジオの数十人の開発の人たちの協力が仰げます。大企業の「開発部署とR&D」と関係が似てるかもしれませんね。

 
――意外と社員の方は少ないですね。

社員数は今で28人なので、コンシューマゲームを作っている会社のなかではだいぶ少ないかもしれないですね。

 
――それでも開発実績を見ると『ガンダムブレイカー3』や『聖闘士星矢 ソルジャーズ・ソウル』といった大きなタイトルがあります。

じつはうち一社で作ってないんですよ。お付き合いしている協力会社さんが沢山ありまして、たとえばエフェクトがすごく強い会社さんとか、モデリングがすごく上手い会社さんだとか。そういう会社さんとタッグを組んでお仕事しています。ですので、1タイトルでうちのスタッフは十数名ぐらいですが、実際には数十名で作っています。

 
――社内だけで作れるように人を増やそうと考えたことはありますか?

あるにはあるんですけど、なかなか良い方が見つからなくて……マイナビなどでも募集をしているんですけどね。特にデザイナーが不足していて大変です。ただ、腕の良いデザイナー会社さんを何社か知っていますので、何とかなっている感じです。

あと、コンシューマゲームって繁忙期と閑散期がありまして、よく量産フェーズと試作フェーズみたいな言い方をするんですけど。最初は少人数で試作を作って、それがいけるとなると量産になって一気に人が増えます。試作の段階は10名以下で作ることが多くて特にデザイナーが少ないのですが、量産フェーズで一気に増えます。このあたりのやりくりを社員だけで行うのはとても難しいので、タイミングにあわせて良い会社さんに入っていただいて人を増やすというのは、ある程度デザイナーが増えても続けると思います。

ただ欠点としては、そのタイミングで良い会社さんが空いているかどうかが運次第なんですよね(笑)なので日ごろのお付き合いが大事になります。

 
――他社さんとの連携は不可欠ですね。

ほんとにそうですね。例えば今日ですと、ジェムドロップさんには以前お仕事を手伝っていただきました。そういったつながりもありますね。

 
――ジェムドロップさんはなんでもやってますね。

いつも助かってます。その時も優秀なプログラマーさんをお借りできたおかげで、なんとか締め切りに間に合わせることができました。

 
gtmf-2016-osaka-meet-ups-ilinx-002――イリンクスさんはモバイルはあまりやらないんですか?

うちは運営をやらない方針なので、モバイルはちょっとお手伝いするぐらいが多いですね。運営までやってしまうと一つのタイトルにずっと人が割かれてしまいますので。あとモバイルゲームをお手伝いすることは問題ないですし、クオリティも一定の水準は出せるとも思うんですけど、コンシューマのお仕事の依頼の方が多いので、そちらを優先的に選んでしまうというのもあります。会社では時々モバイルゲーム作りたいねって言ってるんですが、結局全然作らないですね(笑)

 
――忙しいんですね。

おかげさまで忙しいです。現状国内ではコンシューマゲームを作っている会社さんがずいぶん減ってしまって、とくにアクションゲームを得意としている会社さんが減りましたので、いろんな大手の会社さまからお声がけをいただいてまして、お仕事はいまのところ埋まってる様な状況です。

 
――実績を見れば納得です。

ありがとうございます。ですので今日は「新しいお仕事募集」というよりも、どちらかというと「こんな環境で一緒にゲーム作りたい仲間募集」という所をアピールさせていただきました。

 
――求められているパートナーとは。

今は特にデザイナーが不足してますので、次世代機クオリティの3Dアートを作れる方を募集してます。それ以外にもPlayStaion4などで実績のあるデザイン会社さんは、いつでも大募集です。

 
――3Dは業界的にも人が足りていないとか。

そうですね。最近はソーシャルゲームでも3Dがもてはやされてきまして、3DCGの会社さんの取り合いみたいな感じになってる気がします。しかも一定の結果を出せる会社さんというのは特に取り合いになっていますね。そのなかでうちは「コンシューマ開発は楽しいし、やりがいもあるので是非!」みたいなお願いをしているんですけど、なかなか大変ですね。

 
――いちゲーマーとして、コンシューマを頑張るという声を聞くことは嬉しいです。

ありがとうございます。ある意味うちの強みといいますか差別化といいますか。ソーシャルゲームの会社さんとかでもよく聞く話なんですけど「自分の会社よりもA社のほうが給料も上、作る物も上、さらに環境も上となると、A社に入る実力がない人しか自分の会社に来てくれない。そうなるとA社との差が開く一方になる」と。やはりこの業界だと、お給料とか環境以外に何かしらの武器を持たないと、いい人って来てくれないと思うんですよね。うちの場合は武器を考えたときに、コンシューマかなと。給料が1000万円以上だったり、昼ごはんが無料で食べれたりはしませんが、自分たちが好きなコンシューマゲームが作れます、という強みでやっていこうと決めました。その後、周りがスマートフォンに流れていく中、必死にしがみついていたら、気がついたらまわりのコンシューマ会社さんが減っていて、何とかお仕事が安定して頂けるようになりました。

うちみたいな出来て間もない会社ですと、ちょっと前だと「ガンダム」とか「聖闘士星矢」とか、そんなすごい案件に関わることはできなかった思うんですよね。すごい開発会社が沢山あったので。立ち上げ当初はそんなこと考えてなかったんですが、結果的にコンシューマを頑張ってきてよかったなと思っています。

 
――そのような大きい仕事が来るようになるキッカケとは?

一番最初は知り合いでした。以前同じ職場の上司だった方に、一緒にやらないかと誘っていただきまして。今でも大変感謝しております。あとはシリコンスタジオがバックにいてくれることも大きいかと思っています。たとえば大きな案件を受ける際にうちの会社だけですと、信頼や責任問題といった所をクリアするのは難しいかもしれません。その際にシリンスタジオが「イリンクスがヘマやった際、サポートするので大丈夫です」と間に入ってくれるので、そういったことでお仕事が取れているというのもあるかと。逆にぼくたちはシリコンスタジオのミドルウェアを積極的に使って実績を作ったり、技術をフィードバックしたりして、Win-Winの関係でやっています。最近は実績も増えてきましたので、その実績から新しいお仕事のお話も頂いてます。

 
――VRはどうですか?

詳しくは言えないですが、VRもやっています。
SIEさんの研究をお手伝いしている感じなので、ゲームとして発売するわけではありませんが。ただ、おかげさまで知見もたまりましたので、VRゲームも是非作ってみたいですね。

 
gtmf-2016-osaka-meet-ups-ilinx-003――他社に負けないイリンクスさんの強みとは。

コンシューマゲーム、とくにアクションゲームを得意としているところです。今だとPlayStation 4、あとはSteamでしょうか。

 
――Steam(PC)を視野に入れられている会社さんが増えてきていますね。

そうですね、ずいぶん増えてきています。PCは新興国、たとえばアジアや南米、インドといった地域や、中国、ロシアなど、マーケットがすごく広いということと、PlayStation 4などコンシューマのスペックが上がったので、移植がしやすくなったというのがあります。PlayStation 3でも多少はできたんですけど、ハードウェアが特殊だったので、移植するのがすごく大変だったんです。PlayStation 4はパソコンに近く、移植のコストが下がったので、これからSteam向けにリリースする会社は増えていくんじゃないかなと思っています。

 
――最後になりましたが、言い忘れたことがあればぜひ。

言い忘れたことですか……スタッフさん大募集!

 
――どのような方を募集されていますか?

コンシューマのゲームが好きで、開発したいと思っている方ですね。ぜひぜひ応募してきてください。プログラマー、プランナー、デザイナー、すべての職種で募集しています。次はマイナビに7月15日に載せますので、ご応募お待ちしております!

 
――コンシューマ愛のある方からの応募があるといいですね。ありがとうございました。

 

[聞き手: Shinji Sawa / Minoru Umise]

[写真: Mon Gonzalez]

 

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GTMF(Game Tools & Middleware Forum)はアプリ・ゲーム開発・運営に関わるソリューションが一堂に会するイベント。2003年にスタートし、今年で14年目。大阪会場は2016年7月6日、東京会場(事前登録受付中)は7月15日に開催。