『キングダムカム・デリバランス』開発者インタビュー。日本語PS4/PC版の発売が発表された、15世紀ボヘミアを忠実に描く中世RPGに込められた想いとは

先日の東京ゲームショウ2018では、日本語版『Kingdom Come: Deliverance(キングダムカム・デリバランス)』がPlayStation 4/PC(DMM GAME PLAYER)向けに2019年発売予定であることが発表された(関連記事)。それも字幕・音声ともに完全日本語化するという豪華仕様だ。本作は海外向けには今年2月に発売され、わずか2週間で100万セールスを達成した2018年最注目タイトルのひとつである。そんな『キングダムカム ・デリバランス』を開発したWarhorse StudiosのPRマネージャーTobias Stolz-Zwilling氏が、東京ゲームショウ2018の開催にあわせて来日。本作の見どころや、開発チームのこだわりについて解説してもらった。

Warhorse StudiosのPRマネージャー Tobias Stolz-Zwilling氏

インタビューに入る前に、本作のゲーム概要を説明しておこう。『キングダムカム・デリバランス』は、一人称視点・シングルプレイ限定のオープンワールドRPG。皇帝チャールズ4世の没後、暗黒時代に突入したボヘミアは、戦争と腐敗、疑念と不和により引き裂かれつつあった。戴冠したベンツェスラウス(ヴェンツェスラウス)王は異母弟のハンガリー王ジギスムントに誘拐され、ボヘミアの地はジギスムントに牛耳られる始末。プレイヤーの分身となるのは、鍛冶屋の一人息子ヘンリーである。ジギスムント直属の傭兵部隊により故郷を焼き払われ家族を失ったヘンリーは、復讐のため反乱軍の一員となり戦乱の真っ只中に飛び込む。

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本作は15世紀のボヘミアを史実に基づいて描いた作品であり、当時の南ボヘミアの地勢を道の幅まで忠実にデジタル化。建造物も資料や実物をもとに再現している。CryEngineによる繊細なグラフィックや昼夜サイクルの描写、モーションキャプチャースタジオで撮影した中世の剣術アクション、フェイススキャン技術による細やかな表情とその動き。こだわり抜かれた中世ボヘミアの世界を、戦乱に巻き込まれた青年ヘンリーとしてロールプレイするのだ。

ーー本作を手がけたWarhorse Studiosについて紹介してください。

Stolz-Zwilling氏:
Warhorse Studiosはチェコ共和国のプラハに拠点を置くゲームスタジオです。過去に『Mafia』『Mafia II』 といった作品に携わったメンバーが2011年に設立しました。『キングダムカム・デリバランス』は私たちにとって初めてのタイトルでして、開発が本格始動したのは2014年、Kickstarterキャンペーンを開始してからです。

ーー日本語版トレイラーを見た時、どう感じましたか。

Stolz-Zwilling氏:
サムライ映画のような雰囲気を醸し出しているので、最初に日本語版トレイラーを見たときは、いつ忍者や手裏剣が飛び出してくるんだろうとニヤニヤしてしまいました(笑)。とても格好良くて、スタジオのみんなもトレイラーを見て興奮していましたよ。ヨーロッパの人は、伝統を感じさせるようなアジア文化に触れることが好きですし。それでは早速、実際にプレイしながら、どういったゲームなのか説明させてください。

 

史実に基づいた世界設計

Stolz-Zwilling氏:
まず私たちが大切にしたのは、できる限り史実に沿ったゲームにするということです。魔法やドラゴンは登場しません。実際に起きた事柄をもとに物語を構築しており、大学教授・博物館関係者といった有識者の知見を借りながら中世ヨーロッパの世界を形作っていきました。本作の16平方キロメートルマップは、当時の南ボヘミアの一部を再現したもので、今回お見せするRattayという町も実在する場所です。現在もチェコ共和国の中央ボヘミア州の町として存在しています。

Warhorse Studiosの拠点であるプラハからそれほど遠くはなく、開発段階ではチーム全員で現地に出向いて村や城の写真を撮影しました。地形のベースとなったのは人工衛星による標高データでして、そこに現地で撮った城や植生の画像を3Dモデルとして取り入れていったのです。外観だけでなく、建物内の絵画やインテリアといった手作りのアセットまで、当時のスタイルとマッチするよう心がけました。

全体マップに関しても、当時の文献内で描かれているような絵柄になるよう心がけました。ちなみに本作にはハードコアモードがありまして、そちらを選択すると現在地やHUDのコンパスが表示されなくなります。周りをよく観察して、自分が今どこにいるのか、目的地はどこなのか把握していくのです。

メニュー画面にある写本(Codex)の項目には、ロケーションやキャラクターに関する歴史的背景を知りたい人用の情報が集約されています。興味がなければ開く必要はありません。あくまでも14〜15世紀ボヘミアについてより詳しく知りたいという人のために用意したコンテンツです。

 

クエストNPCが主人公を待ってくれるとは限らない

Stolz-Zwilling氏:
今回お見せするクエスト(The Hunt Begins)では、Skalitz一帯の領主ラジク卿から、Rattayの北東に位置する農村Neuhofが何者かの手により襲撃を受けたため、今すぐBernard隊長と共に現場へ向かいなさいとの指令が下ります。時限クエストであることがそれとなく示唆されはするのですが、時間制限があることや、どれくらいの時間が残されているのかは知らされません。Bernard隊長と合流しなくても、主人公抜きでクエストはそのまま進行します。

※こうした時限イベントがあるのは、一部クエストのみ

 

不殺クリアも可能

Stolz-Zwilling氏:
事件現場にたどり着いた後は、何が起きたのか調べるため捜査を開始します。『キングダムカム・デリバランス』は、最初から最後までプレイヤーの手を引いて説明するゲームではありません。プレイヤー自ら、次に何をすべきかを考えるのです。基本的には最も明らかな解決方法だけ情報として提示するようにしていますが、ほとんどのクエストには3〜5とおりの進め方が用意されています。暴力で解決することも、不殺傷を貫いてゲームをクリアすることも可能です。誰も殺さずにクリアするというのは実績の解除条件にもなっています。カットシーンで1人だけ、どうしても殺さなくてはならない人物がいるのですが、プレイヤーが操作する場面では誰一人殺さずともゲームをクリアできます。

ちなみにカットシーンにも力を入れていて、長さとしては全部で4時間あります。スタジオ内のモーションキャプチャー設備を活用しており、とてもシネマティックな仕上がりになっていると思いますよ。ボイスオーバーも重要ですね。俳優/声優さんのセリフ回しが悪ければカットシーンの品質も落ちてしまいます。その逆もまた然りです。今回のシーンでは殺された馬の無残な死骸が映っていますが、本作はゴア要素を強調した作品ではなく、四肢切断などはありません。それらは本作のストーリーテリング上、必要ないからです。

 

主人公は英雄ではない

Stolz-Zwilling氏:
さて、クエストの話に戻りましょう。事件現場に到着したヘンリーは、現地の住民から、「盗賊たちは何も盗まずに馬だけを屠殺して去っていった」と知らされます。ヘンリーは鍛冶屋の息子であり、皆に愛されし英雄なんかではありません。実はドラゴンボーンだった、なんてわけでもありません。住民からの信頼・尊敬を一から獲得しにいかなくてはなりません。今回のクエストでも、ヘンリーはBernard隊長から全く信頼されていませんし、事件の目撃者からスムーズに情報を引き出せるとも限りません。そうした関係性の中で周囲を調査し、目撃者から情報を聞き出すことになります。ただ、どれも必須ではなく任意の行動になります。次の目的地はここで、この人物に話しかけて……といったことを矢印やマーカーで細かく指示することもありません。

 

能力値により変わる会話の成否

ーー会話中の選択肢には、スピーチやカリスマなど、能力値が一定数を超えていないと成功しないものもあるのでしょうか。

Stolz-Zwilling氏:
ヘンリーの能力値や装備品によって、会話、印象、威嚇といったステータスが変動します。甲冑を着込んで騎士のような格好をしていれば人々を威嚇しやすくなりますし、逆に浮浪者のような格好をしていれば威嚇できなくなります。能力値が足りなければ情報を教えてくれませんが、全ての情報を仕入れなくてもクエストは進めることが可能です。

ーー誰かに情報提供を拒否されても、他のNPCから仕入れた情報から目的地を導き出せるということですか。

Stolz-Zwilling氏:
ええ、極論としては誰とも話さずに進めることだって可能です。

ーー情報提供NPCと会話することで、次のイベントがトリガーされるわけではないと。

Stolz-Zwilling氏:
今回のクエストで言うと、ヘンリーがNeuhof地域に入った時点で、盗賊はマップ上のとある場所にスポーンしています。その後の会話や捜査によって新しいイベントが発生して盗賊のスポーン位置が決まるわけではありません。目撃者から仕入れた情報を頼りに盗賊の居場所を絞り込んでもよいし、事件現場から血痕をたどっていってもよいのです。さまよい歩いている最中に、偶然居場所を見つける人もいることでしょう。このように『キングダムカム・デリバランス』の攻略方法はひとつではないのです。

では盗賊が隠れている森林の中に入ってみましょう。ちなみにドイツの最大手ゲームメディアは、『キングダムカム・デリバランス』の森林について「ゲーム史上最もリアリスティックな森林」だと書いていましたよ。先ほどお伝えしたように、村や城だけでなく植生の写真も撮影して3Dスキャンしたからです。

 

戦闘システムについて

Stolz-Zwilling氏:
盗賊を見つけてからも、彼らの立ち話を草むらからこっそり聞いて情報だけ持って退避するのか、Bernard隊長を連れて戻ってくるのか、あるいはそのまま突撃するのか。どのようなオプションがあるのかゲームの方から伝えることはありませんが、複数の選択肢が存在します。

今回は盗賊にそのまま突撃してみましょう。戦闘システムはロックオン制で、6方向に攻撃することができます。たとえば攻撃したい方向にエイムして、上から下に斬り落とせば、次の攻撃の始点は下からになります。そのほか刺し・突きの攻撃の組み合わせでコンボ技を出すこともできますし、攻撃方向を示すアローが緑色に変わったときに素早くブロックボタンを押すとスローモーションで敵の攻撃を防ぎ、カウンター攻撃を返すことができます。ブロックを使わず左右に移動することで攻撃を回避することも可能です。少々難しいですが。

ーー攻撃方向にコントローラーの右スティック/マウスを向ける必要はなく、ブロックボタンひとつで済むのですね。

Stolz-Zwilling氏:
ダイレクショナル・ブロッキングではありません。攻撃・防御の両方で方向指定を求めると難易度が高くなりすぎてしまうと感じたため、採用しませんでした。

 

戦闘システムとインベントリの繋がりについて

Stolz-Zwilling氏:
ヘンリーが着用できる装備品は、頭部4箇所、上半身6箇所、下半身4箇所、武器、ジュエリー類と細かく分かれています。本作の戦闘には斬撃・刺突・殴打という3種類の攻撃方法があり、防具の素材によって各攻撃に対する防御力が異なります。例えばプレートアーマーは刃物系の武器に強く、殴打用の戦棍には弱いといった具合です。それらを踏まえ、異なるレイヤー、異なる素材の装備品を組み合わせていくのです。武器も防具も傷を負えば性能が落ちていきますので、手動で武器を研いだりといったケアも欠かせません。

また防具は種類によって可視度や、移動時に立てる音の大きさが変動します。プレートアーマーは防御力が高いかわりに大きな音を立てますし、軽い黒装束は防御力が低いかわりに音を立てずに敵に接近できます。

そのほか管理が必要な項目としては、体力値を示すヘルス、スタミナに影響するエナジー、空腹度をあらわす栄養(Nourishment)の3つがあります。エナジーは就寝することで回復し、栄養は食料を摂取することで回復します。空腹になるとスタミナの最大値が減り、そのまま何も食べずに放っておくと餓死します。ただし腐った食べ物を摂取すると毒状態になるので注意してください。

ーー寝不足になると、ほかにどのようなデメリットが生じるのですか。

Stolz-Zwilling氏:
ゲーム内で寝て時間をスキップしたり、ファストトラベルしたりする際には、エナジーと栄養を消費します。寝不足だったり空腹だったりすると、そうした機能が使えなくなります。ちなみに中世ボヘミアでは、夜中に松明なしで外出することは罪ある行為とみなされていました。松明なしで夜に出歩くのは犯罪者だけだったからです。そのため本作でも夜間に灯りを持たずに外出すると捕まります。

ヘンリーの基本能力値は筋力、機敏さ、持続力、スピーチの4項目で、『The Elder Scrolls V: Skyrim』のように関連するアクションを取ることで数値が上がっていきます。またキャラクターのレベルを上げたり、各能力値のレベルを上げたりすることで、新しいパークをアンロックできるようになります。スピーチの「Highborn」というパークを獲得すれば貴族・上流階級の人間と話すときにスピーチレベルが上乗せされますし、錬金術、飲酒、薬草学、馬術、狩猟、ロックピックなど、ほかのRPGで見たことのあるスキル・パークは揃っています。ヘンリーだけでなく愛馬の能力も変動しますよ。

ーーNPCにはそれぞれ生活サイクルがあるのですか。

Stolz-Zwilling氏:
はい、各NPCにはデイリーの生活サイクルがあります。コンソールに移植する上でトリッキーだった部分でもありますね。朝起きて、顔を洗って、ご飯を食べて、職場に向かって、自由時間を過ごして。クエストでは、そうしたNPCの生活サイクルを利用することもできます。いつどこで食事を取るのか観察して、毒を盛るといった具合です。盗賊の野営地を破壊するというクエストでは、彼らの食料に毒を盛ることで全員まとめて始末することもできます。

ーーNPCの生活を観察することも大事なのですね。

Stolz-Zwilling氏:
そのとおりです。NPCはプレイヤーが訪れたときにスポーンするのではなく、常にどこかで生活して、仕事をして、それぞれの人生を送っているのです。

→Part2につづく

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