コピーガード「Denuvo」を研究してきたクラッカーが逮捕される。PCゲームのクラックにおける一大勢力が姿を消す

かつて最強と呼ばれていたコピーガードDenuvo Anti-Tamper(以下、Denuvo)を研究するクラッカー集団REVOLTのリーダーVoksi氏が逮捕されたとKotakuなどが報じている。Voksi氏はブルガリア在住の21歳のクラッカー。これまで『Rise of the Tomb Raider』や『DOOM』、中国のクラッカー集団3DMが手を焼いた『Just Cause 3』へのアクセスに成功するなど、「Denuvo」の突破に幾度も成功してきた。最近でも『Total War Saga: Thrones of Britannia』や『鉄拳7』、『Injustice 2』など数々のPCタイトルのプロテクションをこじ開けてきている。Denuvoクラックの最前線にいる青年が、ブルガリア当局に逮捕されたという情報が出回っている。

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発端となったのは同グループが主催する情報共有フォーラムThe REVOLT Forumsの閉鎖だ。クラック情報がシェアされていたコミュニティが7月25日に突如閉鎖され、さらにサイトにアクセスすると反海賊版サイトに一時的に転送されるという仕様になっていた。多くのユーザーが異変を懸念する中、Voksi氏がredditのCrackWatchに降臨して事態を説明した。

Voksi氏によると、氏はブルガリアの当局に告訴されたという。警察が自宅を訪問しサーバー用および自分のPCを持っていかれ、自身も警察に行き事情聴取を受けたようだ。急すぎる展開に慌てた氏は、Denuvo社に対し穏便な解決を提案するも、Denuvo社のスタッフは検察に任せているとだけ述べ、要求を拒絶した。最終的にVoksi氏はクラックに対する研究を諦めざるを得ないと断念。ほかに誰かに任せる意思を見せつつ、弁護士を募る呼びかけをして言葉を締めた。つまるところ、事実上の“クラッカー引退宣言”である。Kotakuの取材に応じたDenuvo社は、Voksi氏の逮捕は、同社の親会社Irdetoとブルガリアのサイバー犯罪班の協力によって実現したコメント。海賊行為を犯し続ける容疑者に対し技術的、そして法的に連携したことにより迅速に氏を逮捕できたと話している。

最後まで「君たちのためにやってきた」「ゲームを肥大化させることは許せない」と話すように、Voksi氏にはDenuvoに反対する気持ちがクラックをする動機として存在していた。Denuvoはデバッグ作業や逆行分析、実行ファイルの改ざんを防ぐことで、DRMをバイパスできないように強固な守りを提供する一方で、実質的には“もうひとつのDRM”であったり、ゲーム中にゲーム内部からデータを呼び出すことからパフォーマンスへの影響も危惧されたりと、ゲームプレイ体験を損ねる要因として毛嫌いされることはしばしある。ビッグタイトルのDenuvoの搭載有無がビッグニュースにあるほど、アレルギーを持つ人々が存在する。オランダの研究者は、Denuvoを搭載するゲームはしないゲームよりもレビュー評価が低くなりがちであるという論文を公開しているように、クラッカーだけでなく一般ユーザーからも好かれているとはいえない立ち位置にある。そんな不満を持つ“人々”のためにクラックをおこなってきたと主張する氏であるが、サイバー犯罪をおこなったとして逮捕される結末となった。

勢力としては中国のクラッカー集団3DMといったグループはまだ存在するが、共同戦線の先陣を切ってきたREVOLTのVoksi氏の引退宣言は“クラッカー側”にとってのダメージは大きい。クラックされたという報告を含め何かとネガティブな話題が先行しがちなDenuvoであるが、天敵のひとりを捕らえた現在、最強と呼ばれた輝きを取り戻していくのだろうか。

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