悪名高き違法ROM配布サイトが、またしても任天堂の賠償請求事件を引き金に機能停止。管理人は”レトロゲームの収益化”による影響を指摘

海賊サイトのひとつ「The ISO Zone」は、ゲームソフト(ISOファイル)の配布を取りやめたことを発表した。エミュレーター本体や対応アプリなどは配信されているが、これまで取り扱ってきたすべてのタイトルの、ISOファイルのダウンロードリンクが削除されている。実質的な機能停止と言えるだろう。7月末より、「LoveROMS.com」と「LoveRETRO.co」の所有者が任天堂から多額の賠償請求をされ閉鎖に至ったことを皮切りに(関連記事)、「Emuparadise」も任天堂タイトルの取り扱いを停止(関連記事)。「ISO」というキーワードをGoogleで検索すると上位に現れるWebサイト「The ISO Zone」は、任天堂タイトルだけでなく、すべてのISOファイルを削除することを決断したようだ。

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「The ISO Zone」の管理者であるTiZ氏はサイトにて声明を公開。Tiz氏の見解によると、レトロゲームの著作権者は最近まで、そうしたタイトルを収益化目的で販売してこなかった。レトロゲームの多くは、正規手段で新規に購入・起動する術が提供されておらず、その間、著作権者はレトロゲームから収益をあげていない。損害賠償請求をしようにも損害額を算出できないため、ゲームメーカーは海賊サイトを訴えづらかった。しかし最近では、著作権者がレトロゲームのマネタイズ手段を得たことで、海賊サイトに対して損害賠償請求をしやすくなったとTiz氏は語っている。「The ISO Zone」はレトロゲームの保管を目的としていたが、近い将来、レトロゲームの配布は重大な著作権侵害の対象として目を付けられるようになることが明らかであり、そうなる前に白旗をあげることにしたという。

実はこの点については、海外メディアPolygonも似た見解を示している。突如行われ始めた海賊サイトへの警告については、Nintendo Switch Onlineの正式サービス開始が9月後半から始まることが関連していると指摘。もちろん、任天堂はレトロゲームのダウンロード販売サービスであるバーチャルコンソールを長きに渡り提供しているが、現在はニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータとニンテンドークラシックミニ スーパーファミコンを全世界で大ヒットさせている。また月額オンラインサービスNintendo Switch Onlineにおいてもファミリーコンピュータのタイトル20本(開始時点)が遊べるという点をアピールしている。レトロゲームの収益化の成功によって、損害賠償の請求が通りやすくなったというTiz氏の主張は、決して的外れではなさそうだ。

※Nintendo Switch Onlineでは、『スーパーマリオブラザーズ3』をオンラインで楽しむこともできることも告知されている。

8月上旬に話題となった「EmuParadise」の管理者は、任天堂タイトルの取り扱いを停止するにあたり、自身を正当化する文言を並べていた。それに対し「The ISO Zone」の管理者は、自身が置かれた立場を法的観点から客観的に分析して、潔く閉鎖することを発表した。ただし、これは単なる表向きの姿勢でしかない。実は「The ISO Zone」の管理人はゲームソフトの配布をやめたわけではなく、「Retro Zone」と呼ばれる新サイトへと、こっそりと「The ISO Zone」の常連たちを誘導していた(reddit)。ファイルの保管場所を変えるために、サイトを移管したこともフォーラムにて明かしている。この「Retro Zone」では、「The ISO Zone」で消えたはずのISOファイルが配られている。潔すぎるコメントの裏で、ゲームファイルの移管作業を進めていたのだ。ただし、こちらのサイトが存続し続けられるのかは不明だ。

いずれにせよ、任天堂の損害賠償請求を受けて、ゲームROMを無償配布する海賊サイトが立て続けに機能停止に陥っている。こうした海賊サイトの多くは、「レトロゲームの保管」を大義名分に掲げている。しかし、任天堂だけでなく、セガもSNKも含めて業界全体がレトロゲームによるマネタイズ手段を見つけ、ユーザーへの販売を進めている。この調子で多くのレトロゲームが正規ルートで流通するようになれば、レトロゲームの保管という意味での海賊サイトの存在意義は薄れていく。そしてそもそも、著作権侵害を代表に、犯罪行為自体は正当化されるべきでない。損害賠償を恐れる海賊サイトの閉鎖は、必然的に今後も続きそうだ。

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