『スマブラ SPECIAL』を心待ちにしつつプレイを諦める末期がん患者。その呟きを受け、コミュニティがふたたび任天堂を動かす

今年12月7日にNintendo Switch向けに発売予定の『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』(以下、スマブラ SPECIAL)。登場ファイターやステージ、アイテムなど、あらゆるコンテンツがシリーズ史上最大規模という本作に期待する人は多いことだろう。カナダに暮らす21歳のゲーマーであるChris Taylor氏もそのひとりだ。しかし彼はNintendo Directが放送された9月14日、『スマブラ SPECIAL』をプレイすることは叶わないだろうと、不安を滲ませるツイートをする。

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Taylor氏は、現在寝たきりの状態にあるという。ある日、彼は足に激痛を感じたそうだ。ただ、彼が暮らしていたアメリカでは医療費が高く、どこかが痛いというたびに医者にかかることはできないため、彼はいつも我慢して早期受診することはなかった。今回も同じように痛みを我慢していたが、5か月ほど経過しても痛みが引かなかったため医者に診てもらったところ、骨のがんである骨肉腫だと判明。実は、彼はこれまでにがんを三度患い克服してきた経緯がある。そして、ふたたび発症して数年が経ったいま、彼のがんは末期の状態だという。彼は、『スマブラ SPECIAL』が発売される12月まで生きていられないだろうと感じているのだ。

彼は、このような病状の中でひとつのゲームについて諦めなければならないなどと言うのは子供っぽいことだと理解していると述べる。ただ、『スマブラ』シリーズは彼にとってずっと特別なゲームだったそうだ。しかし『スマブラ SPECIAL』が発表されてからも彼の症状はゆっくりと進行し続け、同作の新情報が出て素晴らしいゲームだと知るたびに、プレイすることはできないであろう現実に心を痛めてきたという。

このTaylor氏のツイートをきっかけに、事情を知る友人のAlex Rochon氏が行動を起こす。彼が亡くなる前になんとか『スマブラ SPECIAL』をプレイさせてあげられないかと任天堂に宛ててツイートしたのだ。このメッセージには8000件前後のリツイートといいねが集まるほど、大きな注目を集めることとなった。

それから1週間が経った9月22日、Taylor氏は任天堂関係者の訪問を受けたことを報告した。なんと任天堂は、E3に出展した『スマブラ SPECIAL』のデモを持参し、彼のために同作をプレイさせてあげる機会を設けたのだ。Taylor氏は母親や兄弟、地元の友人らと共に、3時間にわたって同作を楽しんだという。訪問を受けたのは18日だったそうだが、『スマブラ SPECIAL』をインストールしたNintendo Switch本体の所在を明かすことは危険だったため、時間を置いて報告したとのこと。そして、今回の任天堂訪問の実現のために協力してくれたすべての人に対して感謝の言葉を述べている。

Taylor氏は、同じく多くの支援の声を上げてくれたRedditのコミュニティにも感謝を伝える投稿をしている。そして彼が患う骨肉腫について、診てくれた医師らは素晴らしい働きをしてくれているものの、カナダでは資金的な問題でその研究がなかなか進んでいないとし、骨肉腫の研究や患者の支援をおこなっている非営利団体MIB Agentsへの寄付を呼びかけている。その支援の中には、死を迎える前に患者の夢を叶えてあげるという、今回Taylor氏の身に起きたことと同じような事業も含まれているとのこと。彼は、そうした支援はとても大きな意味のあることだと述べている。

任天堂は以前にも、先天性心疾患により余命短い弟に『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』をプレイさせてあげたいという、兄の働きかけに応じたことがある。その家族を米国任天堂のオフィスに招き、当時発売前だった同作をプレイさせてあげたのだ。その際も、Redditをはじめとするコミュニティにて支援の輪が広がり、実現することとなった(関連記事)。今回の出来事は、コミュニティが持つ力の大きさと、ファンに夢を届けるメーカーの寛容な姿勢を再確認することとなったのではないだろうか。

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