『リーグ・オブ・レジェンド』2017シーズン Summer Splitが終了。戦いの舞台はいよいよ世界へ

春夏間に行われた国際大会「Mid-Season Invitational(MSI)」では世界各地のトッププロチームによる激しい戦いが繰り広げられた『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』。この9月上旬には、各地域でSummer Splitが終了した。弊誌では開幕前に欧米韓の3地域について、各チームと見どころの紹介記事を掲載している。

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MSIの終了と夏の分割国際大会「Rift Rivals」を経て、今シーズン後半戦であり世界大会への出場権を賭けた世界大会へ向けたSummer Splitもいよいよ各地で終わりを迎えた。波乱の結果を振り返ると同時に、Summer Split以降のゲームバランスを交えて今後の展望を解説する。

欧州

4スプリットの連続優勝を重ねるG2 Esports。画像出典:LoL Esports Photos

グループA
1位:Fnatic 11勝2敗
2位:G2 Esports 8勝5敗
3位:Misfits 6勝7敗
4位:Team ROCCAT 5勝8敗
5位:Ninjas in Pyjamas 2勝11敗

グループB
1位:H2k-Gaming 9勝4敗
2位:Unicorns Of Love 9勝4敗
3位:Splyce 8勝5敗
4位:Team Vitality 5勝8敗
5位:Mysterious Monkeys 2勝11敗

プレイオフ結果
優勝:G2 Esports
準優勝:Misfits
3位:Fnatic
4位:H2k-Gaming
5~6位:Splyce, Unicorns Of Love

世界大会出場チーム
Summer Split 1位:G2 Esports
Championship Point 枠:Misfits
地域選抜勝ち抜け:Fnatic

 

 

真なる王者の栄光

今年のSpring Splitより、2グループに分かれて順位を競う新形式を採用したEU LCS。対戦回数もグループによって異なり、それぞれのグループ内で各チーム同士2試合、別グループとの試合を1試合行う形式で行われた。Summer Splitは春のグループ1位チームが別々のグループに分かれ、そのあと1位チームがグループに参加するチームを選択していく「スネークドラフト」によってグループ分けが行われた。結果的に入れ替え戦で昇格してきた新チーム以外は春と同じグループ分けとなった。

グループAはG2がMSI以降調子を落としたこともあり、古豪であるFnaticがその意地を見せる形で1位を獲得。グループBも同様に調子を落としたUnicorns of Loveにくらいついた形で、H2kが1位を奪うことに成功した。いずれも春シーズンに苦しんでいた古豪が盛り返した格好である。しかしながら、プレイオフでは様相が一変。シードを獲得した両グループ1位のチームはいずれも準決勝で敗退し、G2とMisfitsが決勝に進出することになった。その決勝戦はMSIでSKTとの闘いまで進んだことで実力の証明を果たしたG2が圧倒的なゲームを展開してMisfitsを3勝0敗で一蹴して王座を獲得。2016シーズン春からの4スプリット連続優勝を決めたG2はこれで2年間欧州王者の座を独占していることになる。

#LaneToParis」をキャッチコピーとしてプレイオフ決勝の公式スポンサーとなったBMW。BMW M3には現地でアーティストによるチームカラーのライブペイントが施された。画像出典:LoL Esports Photos

続いて欧州からの最後の出場枠を賭けて行われた地域選抜では第一シードのFnaticがH2kを破り1年ぶりに世界大会への切符を勝ち取った。結果から見ると、プレイオフの決勝進出がAグループのチーム同士、さらにはAグループの3チームが世界大会への出場である。グループ間で実力の差が無かったかどうか、2グループ方式が地域の実力にどのように影響を及ぼすのか一考する必要があるように思われる結果となった。2018シーズンのEU LCSが4地域分割開催になるとの報道もあり、今後の競技シーンに対する予測は困難だ。

 

Schalke 04とGiantsの帰還!

EU LCSはチームの入れ替わりや変化が激しいリーグだ。Spring SplitからSummer Splitへの移行の際にも、A/Bグループの最下位チームは入れ替え戦において敗退し、Ninjas in Pyjamas(NiP)とMysterious Monkeys(MM)が昇格してこのSplitを戦った。チーム個別の問題はさておいても、両チームはともにいわゆる「リーグの洗礼」を受けて各グループ最下位でSummer Splitを終え、入れ替え戦送りとなっている。そこで待ち構えていたのは、春終了時にLCS出場枠を賭けて争ったチーム、GIANTSとFC Schalke 04の姿だ。いずれもかつてトップリーグで争い、さまざまな要因からその座を失った組織である。ダブルエリミネーション方式(2敗で脱落)で行われた入れ替え戦において、Challenger Seriesから上がってきた2チームに対してLCSの2チームは太刀打ちできず、1 Splitでの降格が決定した。SKTのトップでサブを務めていたProfit選手やKTのMidを務めたNagne選手を擁するNiP、FnaticのTopだったKikis選手や世界大会ベスト4だったこともあるAmazing選手による補強を行ったMMであっても、組織としての強さやメンバーのコミュニケーションに問題があれば即座に下位リーグへと叩き落される欧州の激しい状況がうかがえる結果と言えるだろう。

再びトップリーグへと挑むFC Schalke 04 Esportsの面々。欧州のプロスポーツクラブ傘下チームとしては最も成果を上げているが、上に上がっていくことはできるだろうか。画像出典:LoL Esports Photos

 

北米

スランプからの休養より復帰したDoublelift選手とともに、今期も優勝を飾ったTSMの面々。画像出典:LoL Esports Photos

 

レギュラーシーズン結果
1位:Team SoloMid 14勝4敗
2位:Immortals 14勝4敗
3位:Counter Logic Gaming 12勝6敗
4位:Cloud9 12勝6敗
5位:Team Dignitas 11勝7敗
6位:Team EnVyUs 8勝10敗
7位:FlyQuest 6勝12敗
8位:Echo Fox 5勝13敗
9位:Team Liquid 4勝14敗
10位:Phoenix1 4勝14敗

プレイオフ結果
優勝:Team SoloMid
準優勝:Immortals
3位:Counter Logic Gaming
4位:Team Dignitas
5~6位:Cloud9, Team EnVyUs

世界大会出場チーム
Summer Split 1位:Team SoloMid
Championship Point 枠:Immortals
地域選抜勝ち抜け:Cloud9

 

 

組織力の強さこそが結果をもたらす

韓国から大量の選手が流入したことで激しい争いの場となった北米リーグ。特に春はPhoenix1(P1)の躍進といった変化を感じさせる結果を目にすることができた。MSIでは五大リーグ中最下位という近年の兆候を反映した結果に終わってしまうものの、いよいよリーグは世界を狙うSummer Splitへと突入していく。Summer SplitはSpring Splitからさらにチームの成熟度を高め、各パッチのゲームバランスを理解した上で戦略を構築・実践できる能力が試される。その点では一段と厳しい戦いが待ち受けており、一方でSpring Splitが振るわなかったとしても夏のプレイオフにさえ優勝すれば世界への切符を手にするチャンスもあるのだ。

さて、実際にフタを開けてみるとSummer Splitは何よりも個人の技量よりもチームの洗練度が試される事となった。理由は単純だ。ミッドシーズンアップデートによって各レーンの役割が大きく変動し、その変化に適応するだけのチーム運営能力があるかどうかが勝敗に直結する環境になったからだ。ここで大きく失速してしまったのがSpring Splitに華々しく再誕してみせたP1である。ミッドとボットに強力な韓国人選手を擁するこのチームは、残念ながらトップへの負担が非常に大きい現在のバランスでの戦いに苦しみ、最下位へと転落することとなった。また、昨年から苦戦を続ける古参チームのTeam Liquidも浮上するチャンスを掴めず、9位で入れ替え戦を余儀なくされた。いずれのチームも降格こそ免れたが、来年以降に向けて再びチームの在り方を模索する長いオフシーズンに入ることとなった。

一方で盤石の強さを発揮したのが北米にその名を刻むTeam SoloMidであり、新興ながら驚異的なチーム立ち上げと組織力を誇るImmortalsの2チームだ。そして昨年以降すっかり強豪として定着したTSMのライバルCounter Logic GamingやCloud9がそれに続く。いずれも傑出したトップレーナ―を擁し、さらに密接なコミュニケーションでさまざまな戦略を実践できるチームが生き残ったと言えるだろう。特にImmortalsは結成2年目、かつ昨年とガラリと入れ替わったラインナップでこの結果を残しており、選手のみならず戦略スタッフの手腕が優れていることを証明している。

通称「Gauntlet」とも呼ばれる地域選抜。初戦敗退となったDignitasのトップレーナーSsumday選手は憮然とした表情で舞台を去った。画像出典:LoL Esports Photos

 

チーム運営の光と影

2017シーズンの北米は韓国人選手の大量流入によって大きく動いた。昨年の2016シーズンも欧州の選手を大量に引き抜いているので、その動き自体は巨大な市場となった北米リーグの恒例行事と言えなくもない。多くのチームが少なからぬ選手の放出と異動を行い、他地域で十分に実績を挙げている選手が新たな看板として、あるいは注目すべき補強としてピックアップされた。しかし、五大リーグといえど世界大会への椅子は一地域あたりわずかに3つ。それ以外のチームは2018シーズンを見据えて長い休暇に入ることになった。

さて、ここで世界大会へと出場したチームを再確認してみると、TSM、IMT、そしてC9である。今年の移籍市場で大きな変化があったのはIMTのみで他の2チームは2016シーズンと同じメンバーで世界大会へと臨んでいる。ImmortalsはLCKから移籍してきたFlame選手と、LMSから移籍してきたOlleh選手という二人の韓国人選手を擁しているが、同規模の補強を行ったチームは他にも複数存在しているわけで、その中から頭一つ抜け出ることに成功したのはコーチなどを含めた組織の質の高さが表れたといえるだろう。一方でP1のように夏になって急激に失速する例もあれば、Dignitasのように卓越した選手(SSumday選手)とともに悪くない順位に付けつつ地域勝ち抜き戦では初戦敗退し、世界へは及ばないという結果に終わったチームも見られた。また、Team Liquidのように多くの選手が出入りしすぎてチームが安定しているようには見えない組織もあった。昨年から何かと話題になっていたDardoch選手が再加入していたり、外から見ていて意図のわからない経営陣というのは不安なものである。Piglet選手、Reingover選手という北米有数のタレントを揃えていても勝てないこのチームの問題は相当に根深いのだろう。次にリリースされるTeam Liquidを扱ったドキュメンタリーが平穏な内容であることを祈るばかりである。

 

韓国

春の不振から大きく返り咲いたLongzhu Gaming。堂々たる夏の覇者として世界大会に臨む。画像出典:@KeSPAen

 

レギュラーシーズン結果
1位:Longzhu Gaming 14勝4敗
2位:KT Rolster 14勝4敗
3位:Samsung Galaxy 13勝5敗
4位:SK Telecom T1 13勝5敗
5位:Afreeca Freecs 10勝8敗
6位:Jin Air Green Wings 8勝10敗
7位:ROX Tigers 6勝12敗
8位:MVP 6勝12敗
9位:bbq Olivers 3勝15敗
10位:Ever8 Winners 3勝15敗

プレイオフ結果
優勝:Longzhu Gaming
準優勝:SK Telecom T1
3位:KT Rolster
4位:Samsung Galaxy
5位:Afreeca Freecs

世界大会出場チーム
Summer Split 1位:Longzhu Gaming
Championship Point 枠:SK Telecom T1
地域選抜勝ち抜け:Samsung Galaxy

 

 

夏にチームを仕上げきったLZ

昨年の世界大会参加チームであるSKT、Samsung Galaxy、無冠の強豪として知られるkt Rolster。2015~2016シーズンを大いに沸かせてくれたROX Tigersがほぼ解散に近い形でメンバー変更を行った後、韓国の強豪チームといえば世界大会の常連や優勝経験のあるこれらの3チームが挙げられる。当然Summer Splitの優勝も彼らの中からいずれかのチームが勝ちあがると予想した視聴者が大半だっただろう。しかし、この夏を制して世界への切符をもぎ取ったチームは彼らのいずれでもなかった。なんと今年のSummer Playoffを制したのは、Spring Splitを7位で終えたLongzhu Gaming(LZ)だったのである。しかもレギュラーシーズン勝率78%、SKT相手も勝ち越して1位通過という堂々の結果だ。さらにプレイオフでもライバルを倒して勝ち上がってきたSKTを決勝において見事に下しての完全優勝で世界大会への切符を勝ち取ったのだ。Spring Splitを7位で終えたこのチームは、Summer Split開始前に世界大会決勝戦経験者のPray選手(ADC)とGorillA選手(Support)以外のスターティングメンバ―3人を入れ替えるという大きな変更を行い、そしてその賭けに見事勝って見せたと言えるだろう。Summer SplitやPlayoffで苦しんでも、世界大会では圧倒的だと言われているSKTだが、前人未踏の三連覇を目指すチャンピオンチームを止めるのは彼らなのかもしれない。

一敗地に塗れるSKT。とはいえ彼らが1stシードでないのは珍しくない上に、出場した世界大会ではすべて優勝している。画像出典:@KeSPAen

 

「最高のメンバー」kt Rolster 世界大会への進出ならず

一方で期待された結果を出せなかったチームも存在する。今シーズンのkt Rolsterは、世界大会およびMSIにおいてベスト4以上の結果を残した選手のみで構成されたスーパーチームとして注目の的となった。実際Spring Split、Summer Splitともに常にKTはベスト3に入る結果を出し続けてきたのだ。しかしこのチームに求められる結果、そして世界への切符を手にするためにはどこかで1位にならなくてはならない。歴代最強であるはずのKTはその壁を乗り越えることができなかった。プレイオフではSKTが常に立ちふさがり、地域勝ち抜き戦では決勝戦において世界大会への最後の椅子をめぐってSamsung Galaxyと対戦するもあっけなく3敗を喫して敗北する結果となった。どこを見ても文句のつけようもないラインナップだったはずのドリームチームは、「最高のチーム」として結果を残すことはできなかったのだ。過去に地域で集められる最高のメンバーを結集したチームはいくつも立ち上がったが、そういったチームが期待にそった結果を残した例は無い。世界の頂点を知る選手たちですら、それは例外ではなかったようだ。

 

見どころ:タンク、そしてチームプレイ

さて、Summer Splitから世界大会に向けて現在のゲームバランスがどのような状況にあるかを簡単に振り返っていきたい。最も大きな変更はSummer Split開始前に適用されたいわゆるミッドシーズンパッチだ。このパッチによってタンク向けの防御アイテムと、それに対抗するADC向けの武器アイテム双方が整備された。その結果ゲームはタンクとADCのどちらがより充実した装備を早く揃えられるかという点で争われるようになっていったのがこの夏の傾向と言えるだろう。ADCが素早く装備を整えて、タンクを含む敵チームをあっという間に瓦解させるようになれば30分以内にゲームが終了することもある。一方でタンクの装備が十分に整うと、一瞬でチームを粉砕することは困難になる。集団での戦いでよりうまく相手のポジションを崩し、ダメージを出すADCやメイジを仕留められるかが問われるようになるのだ。こうなると試合時間は長くなっていくことが多く、この夏の試合は極端に長くなる場合と極端に短くなる場合の二極化にその特徴が見られた。

『LoL』は序盤から慎重に、時には大胆に相手に対するリードを積み上げていくゲームだ。特に序盤の組み立てで重要になるのがジャングルである。遊撃手である彼らはどのレーンに介入して優位を築くのか、あるいは相手の仕掛けを妨害していくのかが重視される。現在の環境ではトップレーンでのマッチアップを補助することと、ミッドのフォローを行うことが特に多い。ボットレーンは元から2対2なのでジャングルを加えても戦力比への極端な変化がなく、攻勢に出る場合はミッドやトップも含めて4人以上で殺到するのが常となる。いずれも適切な状況判断と密接なコミュニケーション、相手の位置を正確に洞察する能力と情報の収集が欠かせない。

これらを踏まえると序盤はトップージャングルーミッドの適切な協同が行えているか、ボットレーンで決定的な状況を作り出せるかがまず注目され、続いて中盤以降は適切なポジション交代によるタワー破壊やミニオンを倒すことによる資金集めを行えるか、資金による有利を終盤の戦いへと繋げられるか(あるいはその不利をひっくり返すような劇的な判断を下せるか)といった点が試合の注目するポイントとなるだろう。以前よりもチームとしての戦いぶりを格段に試されるゲーム環境にあるといって良い。もしも事前にいくつかの試合を観戦しておくのならば、北米の地域勝ち抜き戦をオススメしたい。勝つのに必要な要素の欠けているチームが振るいにかけられていく様子をはっきりと見て取ることができる。

試合の流れを決定的にしたLZ側の攻撃。トップレーンでのジェイス(Lv6)とチョ・ガス(Lv4)の差に注目。映像資料:SKT vs LZ summer Finals

 

そして戦いは世界へ

全てのリーグで世界大会への参加枠が決定し、9月12日に行われた抽選会により、いわゆるプレイインステージ、プレイインステージの勝者とグループステージシードが参戦するグループステージの組み合わせが決定した。過去最大規模で行われるプレイイン・グループステージでは、韓国を除く五大リーグから参戦するチームを含めた前哨戦が繰り広げられることとなる。その中にはFnaticやCloud9といった有名チーム、あるいはGambit Esportsといった黎明期からのファンにとっては懐かしい名前も含まれている。

今年の世界大会は中国の武漢市で始まり、グループステージを勝ち抜けたベスト8によるノックアウトステージに入ってからは各地を転々としていく。準々決勝は広州市、準決勝が上海市、そして最後は北京で世界王者を決定することになっている。今年のMSIはブラジル開催ということで日本時間とはちょうど12時間の時差だったが、世界大会は中国での開催ということで時差はたったの1時間である。今年から開催方式が変わったことで、日本から出場するRampageを含む全24チームが参戦する世界大会は、普段見慣れないリーグの選手たちの戦いぶりを観戦する絶好の機会と言えるだろう。LJL公式サイトでは、試合スケジュールや配信案内が公開されている。日本を含めた世界各国から集まった強豪たちと、そこで繰り広げられる熱い戦いが楽しみである。

[執筆協力:ユラガワ]

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