2016年『リーグ・オブ・レジェンド』世界大会の第2週を振り返る。刻まれた新たな歴史

画像出典: Riot eSport Flicker

いよいよ始まった今年の『リーグ・オブ・レジェンド』世界大会「League of Legends World Championship」 、通称「Worlds」。世界各地から集められた選りすぐりのチームがグループに分かれて激突するグループステージが終了した。さらに、今年よりDLCの売り上げの一部がWorlds賞金総額に加算されることとなり、途中経過も発表されている。波乱に満ちた激闘の第2週とリーグに刻まれた新たな歴史を振り返っていこう。

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※記事後半に試合結果についてのネタバレを含みます

 

Worlds第二週のメタゲーム

トップレーン:小規模戦闘へのシフト

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トップレーンで好んでピックされるチャンピオンは、先週から引き続きケネン、ランブル、ポッピー、ジェイスといったチャンピオンだ。しかし上記の「パワーピック」の中でも、ケネンは特にバンされたり、ジェイスに序盤を抑えられたり、あるいは魔力を引き上げるアイテムを揃える前に大勢が決したりといった試合が少なくなかった。今週の試合は、早めに小規模な戦闘を制してリードを広げようと、序盤から互いに仕掛け合う展開が多く見られている。

ジャングル:序盤のプレッシャー重視

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第2週に入ってもジャングルは序盤からの影響力を重視した流れが続いており、ニダリーは相変わらずすべての試合でピックあるいはバンされる状態が続いている。また、Lv6以降に相手のスタンや移動阻害効果を無視できるオラフが後半のグループではよく選択されていたようだ。レク=サイも、トンネルによる自分だけの移動ルートを設置するスキルや、打ち上げによる行動妨害能力の高さを買われて頻繁にピックされている。なおエリスはピックされている試合こそ多いものの、勝率は今一つという状態で推移している。

ミッドレーン:ゾーニング×ローミング×バーストダメージ

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より積極的に早い時間帯から試合を動かす戦略を各チームが採用していることから、ミッドレーンのチャンピオン選択は若干変化を見せている。第1週で頻繁に見られたカシオペアの使用数は減少し、代わりにオレリオン・ソルやライズ、ビクターといったチャンピオンが試合でよく見られるようになった。これらのチャンピオンはミッドレーンのミニオンを素早く排除した後、ジャングルと共同でトップレーンやボットレーンへの援護を行う。こういったチャンピオンたちにはジャングルほどの機動力はないが、瞬間的に大きなダメージを出すことに長けている。その筆頭格がライズだ。先日のリメイク以降、「相手を焼き尽くすまで続くダメージコンボ」はなくなったものの、素早くミニオンを処理したり大きなダメージを出すことが可能になっており、今後も活躍が予想されるチャンピオンだ。また、注目すべき選択としてヴァルスが挙げられる。遠距離からのゾーニングや「穢れの連鎖(R)」による交戦拒否能力があり、終盤になればADCとして絶大な火力を発揮できるこのチャンピオンも、今後は要所で使用されていくかもしれない。

ADC:より絞られた選択肢

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第2週のADCは、エズリアル、ジン、ケイトリン、シヴィアのどれかを選ぶ以外の選択は見られなかった。射程やスキルの面から勝率が良いのはケイトリンとジンだが、どちらかがバンされる試合も多かった。次点で選ばれるエズリアルは終盤に火力を出せるチャンピオンであるが、十分な火力を発揮する前に試合の大勢が決まることが多く、使用された試合は最多ながら勝率はふるっていないというのが現在の結果だ。

サポート:戦略と運用の変化

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第1週に引き続き、第2週のサポートはアリスター、カルマ、ナミ、ブラウムがまず選択に上がり、さらにバード、タム・ケンチが続いている。特にアリスターの活躍は目覚ましく、21試合で使用されながら勝率が70%を越えている。しかし、ここで韓国チームが新たな選択として提示してきたのがザイラだ。第1週のTSM vs SSGの試合でザイラがバンされていたことを記憶している読者もいるかもしれない。ザイラは味方を支援するスキルを持たないが、自動攻撃を行う植物を設置してレーンで対面に強力な圧力をかけることができる。このような非常に攻撃的なサポートは「グリーディ・サポート」と呼ばれ、レーンで負けた時に取り返すことが難しい選択だが、第2週においてはSSGとSKTがザイラで結果を出している。ANXのサポート・ブランドも同様の考え方にもとづくピックだ。ノックアウトステージではザイラをボットレーンで見かけることも増えるだろう。また、第1週と比べると「とにかく全員で当たる」構成は減り、少人数戦で結果を出す動きや、不利な場面で相手の前進を阻止して攻撃のタイミングをズラしたり足止めしたりするような運用の変化が見られる。

 

筆者お勧めの試合

以上を踏まえて第2週の試合の中からお勧めの試合を以下に挙げておく(時系列順)。リンク先は全てYouTube。第2週は各グループ決着ということで、見どころのある試合も多かったが、その中からレベルが高く見ごたえのある試合を厳選した。

5日目(Group A)
Counter Logic Gaming vs G2 Esports
Albus Nox Luna vs ROX Tigers
6日目(Group C)
INTZ e-Sports vs ahq e-Sports Club
H2K vs EDward Gaming
7日目(Group D)
Splyce vs Royal Never Give Up
Samsung Galaxy vs Royal Never Give Up
8日目(Group B)
I MAY vs Flash Wolves
SK Telecom T1 vs I MAY

 

グループステージ結果

GroupA : Worldsの新たな歴史
・4勝2敗 – ROX Tigers(韓国) タイブレーク1位
・4勝2敗 – Albus Nox Luna(IWCQ – CIS) タイブレーク2位
・3勝3敗 – Counter Logic Gaming(北米)
・1勝5敗 – G2 Esports(ヨーロッパ)

G2以外の3チームが2勝1敗で第2週を迎えたGroup A、その中心にあったのはまたもやワイルドカード枠のAlbus NoX Lunaだった。第二試合でCounter Logic Gamingを打ち破ると、第四試合では1時間に及ぶ激闘の末に優勝候補のROX Tigersすらをも撃破。真っ先にノックアウトステージ進出を確定させたのだ。ワイルドカード地域のチームが世界大会で初めて勝利を挙げたのはWorlds 2014の時、ブラジルのKaBuM! eSportsが当時のヨーロッパのトップチームAllianceを制して1勝を獲得した戦いだった。それから2年が経ち、ついにワイルドカード地域のチームがノックアウトステージへと初めて足を踏み入れることになる。ここに新たな歴史が鮮やかに刻まれたのだ。

力強いプレイでグループステージを突破したAlbus Nox Luna。Likkrit選手はその弁舌からもすっかり人気者だが、体調を崩しているとの話もあり、準々決勝で実力を出しきれるかどうか不安もある。画像出典:Riot eSports Flickr
力強いプレイでグループステージを突破したAlbus Nox Luna。Likkrit選手はその弁舌からもすっかり人気者だが、体調を崩しているとのもあり、準々決勝で実力を出しきれるかどうか不安もある。画像出典:Riot eSports Flickr

GroupC : EUの逆襲
・4勝2敗 – H2k-Gaming(ヨーロッパ) タイブレーク1位
・4勝2敗 – EDward Gaming(中国) タイブレーク2位
・3勝3敗 – ahq e-Sports Club(台湾・香港・マカオ)
・1勝5敗 – INTZ e-Sports(IWCQ – ブラジル)

INTZのジャイアントキリングにより波乱の幕開けとなったGroup C、第2週はジャイアントキリング再びとはならず、EDGが順当に勝利を収めていくかに見えた。しかし、ここで奮起したのがH2kだった。なんとこの日のH2kは対EDGを含むすべての試合に勝利、4勝2敗で並んだEDGとのタイブレークすら制してグループ1位の座をもぎ取ったのだ。

EDGとのタイブレークを制し、観客席に挨拶するH2kのメンバーたち。ヨーロッパ最後の希望として、地元の応援を一身に受け準々決勝に臨む。画像出典:Riot eSports Flickr
EDGとのタイブレークを制し、観客席に挨拶するH2kのメンバーたち。ヨーロッパ最後の希望として、地元の応援を一身に受け準々決勝に臨む。画像出典:Riot eSports Flickr

GroupD : 北米の雄敗退
・5勝1敗 – Samsung Galaxy(韓国)
・3勝3敗 – Royal Never Give Up(中国) 対TSM戦にて2勝のため
・3勝3敗 – Team Solomid(北米) 対RNG戦にて2敗のため
・1勝5敗 – Splyce(ヨーロッパ)

Group Dの第2週はSplyceがRNGを打ち破るという波乱の幕開けでスタートした。横並びの状態でスタートした上位3チームにとっては、1試合ごとに目まぐるしく順位が入れ替わる見通しのつかない戦いが続く。その中で安定した強さを発揮し続けたのは、韓国からの刺客SSGだった。第2週の対戦に全勝し、グループ1位を奪取したのだ。一方で、地元開催で期待も大きかった北米王者のTSMはSplyce戦以外の試合を落とし、3勝3敗でRNGと並んだものの直接対決で2敗していたため3位。グループステージで敗退となった。

降格寸前から華麗なる飛翔を遂げ、世界大会初出場をつかみ取ったSplyce。グループステージでの戦績は振るわなかったが、今シーズンにチームがたどった軌跡を思えば上出来だろう。画像出典:Riot eSports Flickr
降格寸前から華麗なる飛翔を遂げ、世界大会初出場をつかみ取ったSplyce。グループステージでの戦績は振るわなかったが、今シーズンにチームがたどった軌跡を思えば上出来だろう。画像出典:Riot eSports Flickr

GroupB : 王者の風格
・5勝1敗 – SK Telecom T1(韓国)
・3勝3敗 – Cloud9(北米)
・2勝4敗 – I May(中国)
・2勝4敗 – Flash Wolves(台湾・香港・マカオ)

Group BのI Mayは、選手の振る舞いに関するペナルティから第一試合がフルメンバーではない状況でスタート。対するFWにとっては勝ち数を得る絶好の機会だったのだが、奮戦したI Mayが勝利をもぎ取る。北米チームで最後に残ったC9も、SKTとFWに対して勝ちきれず3勝3敗でこの日を終えた。しかしSKTが盤石の強さを発揮したことで1位を確保し、グループ2位につけていたC9もなんとかグループステージを突破することができた。

グループB最後の試合、FW vs SKTを舞台裏から見守るC9メンバー。SKTが勝利してC9のグループ2位が確定したため、笑みがこぼれる。画像出典:Riot eSports Flickr
グループB最後の試合、FW vs SKTを舞台裏から見守るC9メンバー。SKTが勝利してC9のグループ2位が確定したため、笑みがこぼれる。画像出典:Riot eSports Flickr

グループステージ最終結果

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画像出典:@lolesports

グループステージ8日間の結果を受け、各グループの順位はこのように決着した。グループの1位から2位のチームがそれぞれノックアウトステージに進出する。韓国チームは出場した3チームすべてがグループ1位でノックアウトステージ進出を決め、最強地域の実力を見せつけた。中国はWorlds初出場のI May以外の、国際大会の経験豊富な2チームがノックアウトステージへと進出できた。その他はワイルドカード地域から初のノックアウトステージ進出を決めたAlbus Nox Luna、ヨーロッパ最後の希望H2k、ギリギリのところでグループ2位をつかみ取った北米のCloud9という面々だ。今回驚きだったのは、Season 2(2012年)以降、規模は小さいながらも強豪地域の座を占め続けていた台湾チームの脱落だ。両チームともに激戦の予想されるグループに入ったとはいえ、1チームもグループステージを抜けることはかなわなかった。メタゲームの変化と選手の得意分野が噛み合わなければ、強豪とはいえこのような結果もあり得る。その上で、自分たちのゲームスタイルを貫いたチームたちが、ノックアウトステージ進出という結果を勝ち取っている。

準々決勝の展望

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画像出典:@lolesports

グループステージ終了後すぐに、ノックアウトステージ準々決勝の配置を決めるくじ引きが行われた。その結果が上の画像となる。左側は2試合ともに韓国対中国のアジア対決となり、熾烈な戦いが予想される。対する右側は欧米チームの中に韓国のSSGが入り込む形となったが、ワイルドカードのAlbus Nox Lunaがどのような戦いを見せてくれるのか、予想をするのは困難だ。

グループステージが行われたサンフランシスコから、ノックアウトステージ準々決勝はシカゴへと会場を移して行われる。ここから試合方式はBo5(Best of 5、3本先取)となり、まぐれの勝利はもはやない。例年にもまして、まったく予想のつかない結果が続く今年の世界大会。準決勝の地ニューヨークへの切符を手にするのは、一体どのチームになるのだろうか。

準々決勝日程 それぞれ日本時間朝7時より公式配信開始
・10月14日:Samsung Galaxy vs Cloud9
・10月15日:SK Telecom T1 vs Royal Never Give Up
・10月16日:ROX Tigers vs EDward Gaming
・10月17日:H2k-Gaming vs Albus Nox Luna

[執筆協力: ユラガワ@Wired-Lynx]

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