『Overwatch』オープンベータ開始でポルノサイトの検索率が817%上昇、お尻騒動でエロ動画も大盛況

 

5月5日からオープンベータテストを開始したBlizzard Entertainment(以下、Blizzard)のMOBA系FPS『Overwatch』(オーバーウォッチ)が、海外のアダルト動画投稿サイトPornhubにおける上昇検索ワードとして、一躍脚光を浴びている。同サイトでは、過去にも『Fallout 4』や『Minecraft』など、人気タイトルの発売をきっかけにキーワードの検索率が沸騰したことがあり、ポルノコンテンツのトレンドにゲームが少なからず影響を与えている。『Overwatch』も例に漏れない。先日には、女性キャラクターのお尻を強調した一部のポーズが議論の的になっていたが、性的描写への配慮が思いもよらないところで反動となって表れているのかもしれない。

『Overwatch』は、6人ずつのチームに分かれて計12人でオンライン対戦が楽しめる一人称視点のMOBA系アクション・シューティング。BlizzardがWindows/PlayStation 4/Xbox One向けに開発している十数年ぶりの完全新規タイトルとなる。未来の地球を舞台に、多種多様な武器や装備、特殊能力を操るヒーローが登場するのが特徴で、キャラクターによって得意分野や役割分担が大きく異なる。5月24日発売予定で、5月5日からは全てのプラットフォームを対象にオープンベータテストを実施中。当初は5月9日までの予定だったが、24時間の延長が発表された。先日には、本作のパッケージカバーを飾る女性キャラクター「トレーサー」について、お尻を向けて肩越しに振り返る勝利ポーズが、彼女の個性をありふれたセックスシンボルとしての女性像に貶めていると一部で批判され、公式フォーラムを中心に議論の的になっていた。その後、Blizzardは渦中のポーズを差し替えた。

 

公式が脱がさなくとも誰かが脱がす

20160509_OverwatchIsHotWordInPornhub_01
“Overwatch”を含んだ検索率の推移
Image Credit:Pornhub Insight

Pornhub Insightが報告したGoogle Analyticsの解析データによると、パブリックテストの開始を皮切りに、5月5日の段階で『Overwatch』に関するキーワード検索率が、通常時の817%に跳ね上がったとのこと。また、「トレーサー」の勝利ポーズに批判が寄せられた3月29日、およびBlizzardが対応に動いた翌週4月5日にも、検索率は一時的に2倍から3倍に上昇していた。一連の騒動を受けて、同キャラクターが世間から注目されたことが要因とみられ、アダルトコンテンツへの関心が逆に高まってしまったと考えられる。

キーワード別の調査結果でも、「トレーサー」が圧倒的な割合を占めていることが分かる。キャラクター別では次点で「ウィドウメイカー」(グラマラスな女性スナイパー)、3番目に「マーシー」(天使のごとく空飛ぶ女性メディック)が人気。「マーシー」に関しても先日、彼女を“自慰行為のおかず”と連想させるイースターエッグが削除されたことがあった。特に、セクシー担当の「ウィドウメイカー」よりも、露出を控えた「トレーサー」の方がセックスシンボルとしての需要が高いという事実は興味深い。女性キャラクターの過度な性的描写は過去タイトルよりも控えめにしていくという、同社の運営方針や演出の修正が、皮肉にもポルノコンテンツの充実に反動として表れているのかもしれない。実際に“Overwatch Hentai”で画像検索をかけてみると、「トレーサー」が性交渉しているものや陵辱の対象になっている作品が多い。公式が性的描写を避ければ避けるほど、ファンの欲望は掻き立てられるのだろう。

特筆すべきは、3番目に多い検索結果“overwatch futa”である。“Futa”とは日本語でいわゆる“ふたなり”を意味する言葉として使われ、男性と女性の性器を兼ね備えた両性具有を指す。主に男性器を有する女性の表現として創作物の中で使われる。『Overwatch』のポルノ創作では、世界最強の女性兵士「ザリア」をテーマにした作品が散見される。なお、以前にもPornhubは、“Brony”(女児向けテレビアニメ「My Little Pony」シリーズを嗜む成人男性)が世間を騒がせた際、同作品に関するキーワード検索のデータを解析しており、その際も“Futa”関連の検索結果が上位に食い込んでいた。人気ジャンルであることは間違いない。

20160509_OverwatchIsHotWordInPornhub_02
“Overwatch”を含んだ上位検索ワード
Image Credit:Pornhub Insight

このほか、“SFM”(Source Film Makerの略、Valve CorporationがSteamを通して無料で提供している3DCGソフトウェア)に関するサーチも目立つ。「Source Film Maker」は、同社開発の「Source Engine」の中で作動する動画エディタで、『Half-Life 2』や『Team Fortress 2』、『Left 4 Dead』シリーズのアニメーション制作に使用されている。2012年からはフリーウェアとしてオープンベータ版がリリースされ、ファンメイドのパロディ作品やアダルト動画の制作に幅広く活用されている。実際、Pornhubに投稿されている『Overwatch』のポルノ作品は、「Source Film Maker」で撮られたものが大半を占めている。

ユーザーの検索履歴や閲覧傾向から興味分野を予想する“親和性”に着目すると、ロールプレイングゲームやシュータージャンルのファンに、『Overwatch』ポルノを渇望するユーザーが多いようだ。いずれにせよ、ハードコアゲーマー向けのコンテンツであることは間違いない。国別に見てみると、韓国がぶっちぎりで1位。次にベラルーシ、ロシア、ポーランド、チリ、ウクライナと続く。東ヨーロッパ諸国が大多数を占めていることが分かる。なお、「My Little Pony」をテーマにしたアダルト動画に関する検索データからも、同様の統計結果が報告されていた。

 

Pornhubに関しては、昨年にも『Fallout 4』の未公開映像が流出したことで、海外メディアを中心に大きく取り上げられたことがある。「gamescom 2015」にて参加者限定で披露されたゲームプレイデモをこっそり撮影した動画が、“HIDDEN CAMERA SHOWS AUDIENCE TEASED BY BIG BUTT MAN IN TIGHTS LIVE(タイツ姿のでかいケツの男に焦らされる観客を捉えた隠しカメラ映像)”というタイトルで投稿され、ハードコアゲーマーから「パンツの中で爆弾が暴発した。まさにフォールアウト」といった絶賛のコメントが相次いだ。それまではYouTubeやオンラインストレージサイトなど、ネットのいたるところで流出と削除を繰り返しており、消すと増える動画となって不死鳥の如く蘇っていたが、最終的にはアダルト動画共有サイトに落ち着いた形だ。

今回の『Overwatch』もある意味同様、「トレーサー」のお尻をきっかけに、自粛するほど“掻き立てられる”コンテンツとして一躍脚光を浴びる形となった。図らずも絶大なプロモーション効果を生み出したのではないだろうか。ゲーム関連ポルノコンテンツにおける多様な創造性は留まることを知らない。