『スーパーマリオ オデッセイ』RTA最速記録68分48秒樹立。「諦めない心」を胸に抱き世界記録を叩き出す

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『スーパーマリオ オデッセイ』のRTA(スピードラン)にて新たな記録が生まれた。樹立者はSamura1man氏。any%ルールで、ついに60分台の大台に突入する、68分48秒というレコードが刻まれた。先日70分43秒という記録が樹立され、60分台に突入するのも時間の問題と言われており、先日新たな世界記録が生まれている。AUTOMATON編集部がSamura1man氏にうかがった話をまじえて、そのプレイを紹介していきたい。

プレイの見どころは、徹底した時間の短縮だ。90分以内のクリアが続出し始めたあたりから特にテクニカルなプレイを見せるランナーが増えていたが、Samura1man氏のプレイもまた特筆すべきものがある。地上にて高速で移動する「転がり」を基本としながら、「帽子踏みジャンプ」と「ボディアタック」、場合によっては「壁キック」を組み合わせて道なき道を作っていく。特に洗練されつつあるのは、計算され尽くした行動だ。たとえば30:00ではマリオがキャッピーを投げつつもムーンを取得。取得直後に電線をキャプチャーすることで時間の短縮がはかられている。ラストシーンでも、あらかじめ火玉を数回柱に撃ち込んでおき、迂回する時間を削減している。テクニックだけでなく、ルートや行動に最適化が進んでおり、そうした中で今回の大きな記録が生まれたといえるだろう。ちなみに使用言語が中国なのも、もちろん時間短縮のためだ。またSamura1man氏はJoy-Con両手持ちではなくProコントローラーを使用しているとのこと(モーションコントロールを使用)。

Samura1man氏は特に注目してほしい部分として、23:00のロス島のシーンと26:20からの雨のニュー・ドンクシティ、そして68:00(1時間8分)からのラストシーンの3つをあげている。ロス島は事故を誘発しやすいかわりにショートカットも多い、プレイヤーを悩まされる魅惑のステージであるが、氏にはとってもお気に入りの場所のようで楽しんでプレイしているようだ。雨のニュー・ドンクシティでは、マリオが巧みにビルの構造の利用し道なき道を作っていく、『スーパーマリオ オデッセイ』のRTAの魅力が詰まったステージであるといえる。Samura1man氏は「難しいテクニックを多く求められますが、どれもうまく繰り出すことができました。」とこのステージでのプレイに満足感を示している。ラストシーンはテクニックのみならず、Samura1man氏が緊張感を抱きながらも達成し、歓喜の声をあげる「ドラマ」を感じさせる必見の場面だ。

最近では『スーパーマリオ オデッセイ』のRTAは世界記録を何度も叩き出しているVallu氏が先頭を走り続けていたが、ここにきて世界記録を作ったことに対し、Samura1man氏は「ここ数年感じたことのない感覚にあふれています。とても気持ちいい。また味わいたい感覚です。」と話す。熾烈な争いの中でトップに立つという体験は、やはり格別のようだ。Samura1man氏に今回の記録を出すことができた理由について聞いてみたところ「諦めない心」と答えてくれた。というのも氏は実はその直前にも同様に世界記録に迫りながらも最後の場面で落ちてしまった苦い過去を持つ。

しかしその時に投げ出さず「諦めない心」を抱き、冷静を保ちふたたび挑戦することで新たな記録を出すことができたという。ゴールを目前にして失敗してしまったことから学び、生かしたメンタリティこそが世界記録につながったといえるだろう。

さて、こうなるといよいよ1時間切りに期待したいところであるが、現時点での研究では67分以内は難しいとSamura1man氏は語る。しかしRTAは生き物だ。『スーパーマリオブラザーズ』ですら今年の10月に新記録が生まれており、不可能といえるものはなにもない。Samura1man氏はそうした記録の樹立への願いを持っているようで「新たなグリッチやルートの開拓があれば可能であるし、僕は1時間以内の記録が生まれることを信じたいです」と語っている。

発売直後に比べて研究が進み、さまざまな点でかなり極まってきた部分もある『スーパーマリオ オデッセイ』のRTA。グリッチの発見が進めば新たな道が生まれるのだろうか。1時間という大きな壁に果敢に挑む、ランナーおよびコミュニティの挑戦の行方に注目したい。

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